「自分は仕事がデキる」と思っている人が、勘違いしがちなことがある。経営コンサルタントの高松智史さんは「そういう人を『TASKバカ』という。最初に『作業・期限・担当』を考えようとする人たちだ。その前に、仕事に潜んでいる論点を考えてみてほしい」という――。(第3回/全3回)
※本稿は、高松智史『変える技術、考える技術』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。
ビジネスの世界に蔓延る「打ち手バカ」と「TASKバカ」
「論点」の世界に入る前に、世の中に蔓延っている2大バカを説明してしまおう。「打ち手バカ」と「TASKバカ」である。
「打ち手バカ」というのは、言葉どおり、打ち手から考えてしまう人たちを指す。就活のグループディスカッションを思い出してほしい。では今から、この7名でディスカッションをして頂きます。お題は「相撲人気を高め、相撲ブームを起こすためには?」です。30分で考えてください。
その時に登場するのが「打ち手バカ」だ。打ち手バカはこんな感じの発言をする。
「大相撲を人気にするためには、絶対、テレビ放映をもっと大々的にやりましょう。解説は若者に人気なみちょぱとか、男性なら誰ですかね、誰がいいと思いますか?」
「あー、テレビ放映やるなら、広告しましょう、広告。テレビCMを打ちましょう。やっぱ、橋本環奈ですよね。男性なら誰ですかね、誰がいいと思いますか?」
と、スタートの起点が「施策」「解決策」「ソリューション」である人のことを、「打ち手バカ」と呼んでいる。
何かにつけて「CM打ちましょうよ」と言う広告代理店っぽい人をイメージすると、想像しやすいはずだ。しかし、思考の起点に打ち手がくることはない。なぜならば、打ち手から考えてしまうと、「課題」を深掘りできなくなってしまうからである。
さきほどの「相撲ブーム」の話も、一切、「課題」の話が出てこなかったでしょ。それが、大問題なのだ。まず、呪縛から解かれなければならないのは「打ち手バカ」だ。