6月下旬、東京五輪の出場選手の選考が山場を迎える。24日から大阪で開催される陸上の日本選手権。最大の注目は9秒台選手がそろい踏みの男子100mだが、他競技も見逃せない。110mハードルの金井大旺選手は五輪後に歯科医を目指す。走り高跳びの衛藤昂選手は就職を考えて高専に進学し、、現在はAGF社員としてフルタイム勤務している。五輪後の引退を表明する2人の思いと「0.1秒差、数cm差」のシビアな世界をスポーツライターの酒井政人さんがリポートする――。
注目は男子100mだけではない!アスリートの「代表内定」巡る戦い
「働く大人」はみな締め切りと戦っている。フリーランスライターの筆者もそうだ。不思議なことに期日まで余裕があると筆が進まないが、期日が迫るにつれて、集中力が増していく。“適切なリミット”があるとポテンシャルが引き出される感覚だ。
スポーツという競争社会に身を置く人にも似た現象がしばしば起こる。日本陸上界では今季限りでの「引退」を表明しているアスリートが快進撃を見せている。
例えば、男子110mハードルの金井大旺(25・ミズノ)と男子走り高跳びの衛藤昂(30・味の素AGF)。6月24~27日に行われる日本選手権は東京五輪選考の最重要トライアルだ。彼らはどんなパフォーマンスを発揮するだろうか。