鶏卵の96%は国内で生産されている。しかし農林水産省の統計では「鶏卵の自給率は10%」とされている。なぜそうなるのか。東進ハイスクール地理講師の山岡信幸さんは「諸外国と異なり、日本だけがカロリーベースという計算式を使っている。だから実態と数字が異なっている」という――。

※本稿は、山岡信幸『激変する世界の変化を読み解く 教養としての地理』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

卵かけごはん
写真=iStock.com/kazoka30
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品目別で見れば自給率の高い農産物も多い

日本は主食であるお米の一部をアメリカ合衆国などから輸入しています。ただし、輸入分は加工用などに回しており、食用米の自給率は100%です。では、副食、つまり肉や野菜など米以外の農畜産物の自給率はどうなっているのでしょうか。過去の推移も含めて確認しておきましょう。

図表1を見てください。太線で示した総合食料自給率は、1960年の79%から、2018年の37%まで、半分以下に低下しています。もし食料輸入が全面的にストップすれば、1日1食になってしまう(?)という数値ですね。

品目別食料自給率
出所=『激変する世界の変化を読み解く 教養としての地理』。農林水産省「食料需給表」より作成。

しかし、先述の主食の米に加え、鶏卵・肉類・牛乳などの畜産品、野菜、魚介類など多くの食料の自給率はその数値を上回っています。足を引っ張っているのは小麦などの穀物や大豆などに限られます。なぜ「総合」になった途端に数字が低くなるのでしょう?