ひどいリーダーとはどのような人をいうのでしょう。ゴラン・ミリク(クロアチア)


 

ひどいリーダーの筆頭は、訳知り顔をする上司です。世界はどんな仕組みで動いているか、会社は何を考えているか、あなたが何かをやろうとした場合、それがどのように裏目に出るか、この製品を少しでも変えることができないのはなぜかを、彼らはあなたに教えてくれます。

訳知り顔をする人間は耐えがたいだけでなく、危険です。彼らは人の話に耳を貸さないので、新しいアイデアが注目されたり、議論されたり、拡大されたり、改良されたりする環境ができにくくなります。どれほど優秀であっても、1人の人間が単独で事業を頂点に押し上げることはできません。ですから、あらゆる声に耳を傾ける必要があるのですが、自分がすべてを知っていると思っているリーダーは致命的な沈黙を生み出します。

ひどいリーダーの2番目のタイプは「引きこもり」です。感情的に部下から遠く離れている上司、チームと一緒に仕事をするより扉の陰にいるほうが心地よいという上司です。

このタイプのリーダーは許される限りコンピュータとにらめっこし、厄介な問題は、人材管理部門のマネジャーに投げてしまうでしょう。この種のリーダーは部下を奮い立たせることができません。つまり、部下に仕事を遂行させるための情熱を欠いているのです。

ひどいリーダーの3番目のタイプは、単なる「愚か者」です。意地悪だったり、威張り屋だったり、鈍感だったり、あるいは3つ全部が揃っていたりするわけです。このようなリーダーは数字をあげている限り上から守られています。しかし、部下から信頼を得ることはほとんどありません。

このタイプのリーダーは、本人が会社のオーナーでない限り、いずれ自滅することは間違いありません。

ひどいリーダーの次のタイプは甘すぎる上司です。このタイプは厳しい決定を下すことができません。誰にでもイエスと言い、あとで自分が生み出した混乱を収拾するために何時間も費やします。このような上司は自分は皆の同意を得ようとしているのだと弁明しますが、本当の目的は自己防衛です。

最後に挙げるのは、選ぶ勇気のない上司です。彼らは往々にして有望な成長機会に、必要な資金と人材を集中的に投入することができません。それを行ったら、資源配分の過程で誰かが気を悪くするかもしれないからです。

彼らは厳しい業績評価をするのを嫌がり、どの部下にも同じように「よくやった」という評価を与えます。そして、報酬も、スターパフォーマーにのろまな社員とさして変わらない額しか与えないのです。この「平等主義の」アプローチを「優しい」とか「公平だ」と言うこともできるでしょう。しかしこれは、単なる弱さです。

ひどいリーダーがこのコラムを読んで自分のことだと気づくことは期待できません。彼らは自己認識が欠けているからです。あなたの上司がここに挙げたタイプのどれかに当てはまるとしても、落ち込まないように。いつの日かあなたがリーダーになったときに、そうならなければいいのです。

(回答者ジャック&スージー・ウェルチ 翻訳=ディプロマット (c)2007. Jack and Suzy Welch. Distributed by New York Times Syndicate.)