創造的な社員を管理するには、どのような方法が最も効果的ですか。ジョー・バーク(ロサンゼルス)
創造力豊かな人は、斬新なアイデアとユニークな視点で、画期的な製品や新しい仕事のやり方を生み出すきっかけをつくったり、新事業の原動力となる可能性と能力を持っています。
一方で、彼らも会社でできることの限度や会社の価値観を理解し、尊重しなければなりません。
従来の考えでは、ライター、編集者、アーティスト、ソフトウエア・デザイナー、エンジニア、研究者といった人種には、できるだけ自由に仕事をやらせるべきだとされています。彼らは「働き蜂のように扱えば、攻撃してくるが、聖人のように扱えば、いくらでも知恵を出す」とされているのです。
そんなことがあるものかと言いたい気持ちはありますが、これはある意味で正しいと言わざるをえません。創造の才が豊かな人はえてして複雑で、繊細です。風変わりで短気、なかには相当反社会的な人もいます。多くが小学校時代から世の中に逆らって生きている。こうした特質が彼らの頭脳の働きによるものなのか、それとも社会が芸術家タイプの人間にそういう行動を許しているためなのかは、わかりません。
いずれにしても、本当に創造的な人は、普通の枠に押し込められたら創造性を発揮できなくなるようです。優れたマネジャーはその点に注意しなければなりません。とはいえ、企業は博物館のように創造的な生産物を陳列するために存在しているのではなく、それを活用しなければなりません。そのためには、創造的な人にありがちな「自分は自由な主体である」という考え方を改めてもらう必要があります。
多くの創造的な人々が、組織の基本的なルールを受け入れています。しかし、なかには極めて才能豊かであるため、ルールに反する行動を大目に見られている人もいます。若手を奴隷扱いする優秀な科学者。会社のコスト削減努力を鼻で笑う売れっ子のアートディレクター。マーケティング部を無視する天才的なゲーム・デザイナー……。
そうした行動をとっている創造的な人間に傑出した才能がある場合は、多くのマネジャーが見て見ぬふりをしてしまう。問題は、こうしたマイナスの行動はきわめて伝染しやすいことです。
彼らの多くが企業という場ですでにかなりの無理をして合わせているので、自由にできることを示唆されるや、自分のやり方を前面に出してきます。好きなときに好きな場所で仕事をし、会社の「優等生」たちとアイデアを共有するのをやめてしまいます。
このような自由は、一般の社員にとっては苦痛です。彼らは権利を奪われたよそ者のように感じ、不満を抱きます。この不満は、混乱か停滞のどちらかにつながっていきます。
市場で成功するためには、創造的な人々の個性を尊重しなければなりません。しかし、組織の結束と繁栄を望むのなら、リーダーは彼らの自由を一定の限度内に制限しなければなりません。反発する者、会社を辞める者もいるでしょう。しかし忘れてはなりません。あなたは間違いなく彼らの「上司」であり、他のすべての部下の上司なのです。組織のために、上司として行動しなければならないのです。