取材姿勢を反省するメディアも

大坂なおみの全仏棄権のニュースは、欧米の大手メディアでもたくさん取り上げられた。良心的なメディアに掲載された記事の中には、記者会見の場でアグレッシブになる自分たちの取材姿勢に対して反省を見せるものもあった。

多くのメディアが1箇所に集められ、1社あたり限られた時間で確実にいい記事タイトルになるような決めフレーズを引き出すには、テクニックが必要になる。特に、テニスは野球やバスケットボールなど年間の試合数が多いチームスポーツとは異なり、選手が記者会見に応じてくれるチャンスが少ないため、メディアは欲張りになるのだそうだ。他社がどんどん攻めていく中で、自分たちはぼんやりのどかな質問をしているようなら、他社に笑われる。質問はどんどん具体的に、攻撃的になり、時にあえて取材対象の感情を煽るなどしてその瞬間の表情を撮る。

スポーツジャーナリズムの言い分

視聴者や読者にその選手の素晴らしさ、競技の楽しさや躍動を伝えたい、その試合から選手の物語を、人生を紐解きたい。そう考えるスポーツジャーナリズムの普及によって、新聞雑誌などの印刷媒体やテレビチャンネル、ウェブサイトなど、世界中にさまざまなスポーツメディアが生まれた。

そんな中にも、定義の広い“ジャーナリスト精神”の言葉のもと、センセーショナリズムに傾倒したり、数字至上主義に走ったりして、意地の悪い質問をぶつけるメディアがあるのは、私たちも知っているはずだ。「アスリートの心の健康状態が無視されていると感じていた。自分を疑うような人の前には出たくない」。大坂なおみのこの言葉は、そんなマスコミに対して発されたものだ。