エクアドルでの「教育ボランティア活動」をアピール
後半部分からは、ミロ君が社会問題の解決に貢献し人々の人生を豊かにしたい、という大学入学を超えた大きな目標を据えていることがうかがえる。
私はどの政治体制がどのように経済力を牽引するかにも興味を持っている。例えば、国内とEU間の独占禁止法は、寡占または独占的な少数プレーヤーだけに有利に働く経済勢力を看過しない。むしろ寡占や独占から消費者を守り消費者により大きな利益をもたらす。しかし多くの発展途上国にはそのような法律がなく、結果として経済発展を妨げている。政治が不安定な国のリスク分析を提供する「イージス」という会社で私は研修を受けたが、そこでは経済成長を促進する要因が各国の状況によって大きく異なることを実感できた。研修中、私は「世界の最貧困層の十億人」と称される人々が悪循環、つまり貧困と紛争が海外投資を阻害する状況に陥っているのを目の当たりにした。民間投資を妨げないように考慮された適切な支援があれば、貧困に陥っている国々を悪循環から救えるのではないかと私は考えている。
企業での研修以外に非政府組織の慈善活動にも参加し、実務経験を蓄積しながら社会人との交流も広げている。
現在は、ギャップイヤー制度(注:高校卒業後に一定期間行う遊学)を利用してエクアドルでの教育ボランティア活動に従事している。NGO団体は時に政府より迅速かつ効果的に問題に対処するので、ここではその効果的な仕組みを学びたい。
学業だけでなく、スポーツやITにも注力し、これらを通して協調性やリーダーシップ、忍耐力を養っていることを示唆する。新しい技術を創造できる進取性も表している。結びには再びPPEへの興味を書き、英字4000字の自己推薦書を締めくくっている。
私は知的なチャレンジに負けず劣らず体力的なチャレンジも楽しんでおり、テニス部ではキャプテンを務め、空手で黒帯を取得し、サーフィンもする。他方、去年は学習者がノートを共有できるインターネットのプラットフォームを共同で立ち上げた。このプロジェクトの成功を通じて教育と技術の融合は個人にも社会にも資すると確信した。
英国では「クイズ王」を「頭の良い生徒」とは見なさない
ミロ君の自己推薦書についてどんな印象をもっただろうか。ミロ君は無事、オックスフォード大学に合格している。イギリスの名門大学は、よく考え、実行する人を評価するのだ。
一方、日本では難関大学の出身者には「知識がある」というイメージが強い。それはクイズ番組が「東大王」とネーミングされることからも明らかだ。ここには決定的な違いがある。
イギリスでも物知りが評価されないわけではない。たとえばハロウ校には、毎年、全校生徒が参加するクイズ大会がある。問題は100問。政治・経済・スポーツ・科学・食物など多種の分野から出題され、各学年で優勝した生徒は朝礼で表彰される。
しかし学校では各科目や演劇、奉仕活動、軍事演習など全部で数百の表彰対象がある。クイズ王はその表彰のひとつにすぎない。また、クイズ王の表彰を受けたからといってその生徒が「頭の良い生徒」と見なされるわけではない。