フジテレビの女性アナウンサーが人気美容室で無料サービスを受け、その対価としてSNSで宣伝していたという疑惑を『週刊文春』が報じた。元テレビ朝日プロデューサーの鎮目博道さんは「起こるべくして起こった大問題だ。テレビのステマに対する意識は緩い。問題をうやむやにせず、再発防止策を講じるべきだ」という——。
フジテレビ本社ビル
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「ステマ」に無自覚だった女子アナたち

4月15日発売の『週刊文春』がフジテレビの女性アナウンサーの「ステマ疑惑」を特報した。同誌によると、女性アナウンサーらが美容室からカットやパーマ、まつげエクステ、ネイルなどのサービスを無料で受けたという。見返りに、自らのインスタグラムに写真を投稿。広告塔の役割を果たし、それがステマにあたるのではないかと問題視する内容だ。

フジテレビは「ステルスマーケティングに該当する行為はない。法的には問題ない」と見解を示しているが、無料でサービスの提供を受け、そのことを隠してインスタグラムに写真を掲載する行為はまさに世間でいうところの「ステマ」ド本線だと言っていいだろう。

ステマは、特にモデルやタレントといったインフルエンサーが、自身のブログやインスタグラムを通して企業の商品を宣伝する手法だ。その広告効果は高く、企業はこぞって力を入れている。

この問題は今に始まったものではないが、一番の問題は、テレビ業界はステマに対する意識が非常に緩く、これまで表立って問題視されてこなかった点だ。実際に放送業界に30年近くいる筆者も、これまでに似たような話を何度も耳にしてきた。今回の「女子アナのステマ疑惑」は氷山の一角、起こるべくして起こったと言うことができる。

では、テレビの世界がどれほどステマに対して緩いものなのか。女性アナウンサーの「ステマ疑惑」の背景となる業界人たちの認識をみなさんにご紹介したい。