こうしたプレゼントを仲介することで、スタイリストにも何かの見返りがあるのか。

Aさん「私たちスタイリストには何もありませんよ。『Aさんにもいつもよくしてもらっているから』と商品をくださる場合も、たまーにありますけどね。『有名な人は、何万円もするものをいつもタダでもらえて羨ましいなあ』と思いながら、横で指をくわえて見ているだけですよ」と話す。

あの手この手でメディア露出を狙う企業の広告活動

こうした「プレゼント」の対価として求められるのは、SNSへの掲載だけではない。情報番組などのディレクター経験が長いBさんは、こんなケースを経験したという。

「『とある情報番組のリポーターをしている女性に、時計をプレゼントできないか』という話が来たことがあります。リポーターさんはいつもマイクを持っているので、自然と時計が画面に映り込み、宣伝効果として高いそうなんです。ブランド物の時計だったのですが、そのメーカーの知り合いから私にオファーが来ました」

ジュエリーをプレゼントされる女性
写真=iStock.com/Drazen Zigic
※写真はイメージです

「また、某局のアナウンサーさんなのですが、とあるアクセサリーの収集で有名な人がいます。毎日違うアクセサリーを身につけて番組に出演しているので『よくあんなにたくさんアクセサリーを持っているものだな』と思っていたら、その局の人から『彼女はあるアクセサリーショップがパトロンになっていて、そこのアクセサリーをつけて出演しているんだよ』と聞きました。局のアナウンサーなのに、そんなことがあるんだと驚きました」

さらに、制作会社のプロデューサー・Cさんはこう明かしてくれた。

「最近は、読者モデルなどの女の子が出演する番組も多いですよね。彼女たちは私服で出演するのがほとんどなのですが、そもそも『そのブランドの服を着る』という契約をメーカーとしてお金をもらっている場合が多いので、私服出演イコール『ステマ』になってしまうことが大半のはずなのですが、われわれ制作サイドには確認しようがないんです」

「私の担当する番組でも、出演者の『読モ』たちがいつもキャッキャしながら『あ、ヤバい! インスタに写真を上げなきゃ!』とか言って楽屋で写真をアップしているのを見かけましたよ。普通のタレントさんでも、専属スタイリストがついているような人だと、着ている衣装でリベートをもらっているかどうかは、確認する方法がありませんからね」

報道・情報番組もステマに加担してきた

こうした「ステマ」が行われているのは、出演者の衣装だけではない。もっと深刻な問題があると指摘するのは、ドキュメンタリー系の制作を得意とするプロデューサー・Dさんだ。