明治以来の教育の主な目的は、欧米に追いつくために、西洋のやり方を覚え、素早く真似できる人材を育成し産業界に送り込むことだった。敗戦で焼け野原となった日本が「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれるまでの経済大国になれたのは、欧米の工業製品を真似し、軽薄短小を極め、完成度を99%から99.9%に高めるなど、他国で生まれた製品を「カイゼン」できたからで、それに適合した人材を教育機関が育て工業化を支えていたからだ。

だが、工業化時代が終わってデジタル時代である今、これまでの教育は通用しなくなっている。デジタル社会での競争のルールというのは、アメリカ開拓時代のように、デジタル世界という見えない大陸を開拓していく中で、いかに自分のテリトリー(領域)を展開するかということである。しかも1度、GAFAのようにプラットフォーマーとしてテリトリーを固めてしまえば、一人勝ちできてしまうという先行者利益が莫大なのも特徴だ。