夫が家事に手を出したとき、妻からひどくバッシングされる代表例が「買い物」だ。家事研究家の佐光紀子さんは「妻にはいつも買っている『わが家の定番』がある。しかし夫はそれを意識していない。だから『牛乳を買ってきて』といわれても、間違った品物を選んでしまう」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、佐光紀子『なぜ妻は「手伝う」と怒るのか:妻と夫の溝を埋める54のヒント』(平凡社新書)の一部を再編集したものです。

男と女の戦い
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妻からバッシングされがちな買い物

「はじめてのおつかい」というテレビ番組をご存じだろうか。

子どもが、親御さんに頼まれて、初めてひとりでおつかいに行く姿をテレビカメラが追うドキュメンタリーだ。大人と一緒ならなんのことはないタスクを、三歳、四歳の子が初めてこなすことで起こる大冒険。

買うものを忘れてしまったり、おつりを取り忘れたり、買ったものが重くて持ち帰るのがつらくなってしまったり。そんなトラブルを乗り越えようとする子どもたちを、親ではなく、お店や周囲の大人が助ける。

途中で、くたびれてしまって、道にへたりこんだり、一緒にでかけた弟がだだをこねたりする姿を、カメラが丁寧に映し出すという人気番組だ。

確かに初めておつかいに行く三歳児、四歳児にとって、おつかいは文字通り未知の世界だろう。だが、見方を変えると、三歳児、四歳児でも、こなせるのがおつかいだ、とも言える。初回は確かに大冒険でも、慣れてくれば、子どもたちも、近所のお店に牛乳を買いに行くことなど、苦もなくこなせるようになってしまう。

そういう意味で、おつかいは、子どものお手伝いの典型だ。子どもでもできるんだから、大人の夫にとっては朝飯前。そう言いたいところだが、実際は、夫が手を出したときに、妻のバッシングがひどい家事の一つが、買い物だ。