長引くコロナ禍は、女性の生活や働き方にどんな影響を与えているのでしょうか。内閣府男女共同参画局で調査にあたっている立命館大学教授の筒井淳也さんは、多くの「負の影響」を指摘します。テレワークの普及や休校・休園で、ワーママたちに起こった衝撃の変化とは──。
婚姻数、出生数ともに大幅ダウン
1回目の緊急事態宣言から1年以上が経ちましたが、新型コロナウイルスの感染拡大はいまだ収束の気配を見せません。長引くコロナ禍は経済や生活全般に大きな影響を与えているほか、最近では結婚や出産への影響も明らかになってきました。
2020年1~10月の婚姻数は前年より約13%もダウン。これはコロナ禍の影響で結婚式を開けず、中止や延期にした人が多かったのだろうと推測されています。また今年1月の出生数は、前年の同じ月と比べて14.6%も落ち込みました。こちらも、コロナ禍によって妊娠や出産を控える人が多かったためだと思われます。
結婚と出産の減少は少子化に直結するため、国も大きな危機感を抱いているようです。この傾向がコロナ下における限定的なものなのか、収束後も続くのかはまだわかりません。ただ、コロナ禍が女性の生活や働き方にどんな影響を与えているか、これを知ることがヒントのひとつになるように思います。
家事育児時間が増加した女性が3割
コロナ禍が女性にもたらした影響としては、まず家事育児時間の増加が挙げられます。私も参加している「内閣府 コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」の調査では、緊急事態宣言中に家事育児時間が増えたという女性は3割以上にのぼりました。
これに比べ、男性で「増えた」と答えた人は2割強ほど。ここからは、テレワークや外出自粛などで家族の在宅時間が長くなった結果、妻の負担がより増している様子が見てとれます。