夫が独断で加入した「年104万円も支払う保険」はアリか
また、生命保険についても、夫が一人で決めてしまったことに不満を持っています。医療保障もついていますが基本的に貯蓄性の保険で、ドル建ての保険も多く含まれています。保険の担当者は「お得で人気の商品です」と説明していたけれど、妻は信じがたく契約したくなかったけれど、夫は押し切ったそうです。
互いに考え方も違うので、家計の相談を機に、無理をしながらガンガンお金を貯めるというよりは、もう少し気持ちにゆとりが持て、必要なことにお金を使える家計にしたいということが、妻の希望でした。
確かに、妻が契約したくなかったという生命保険料は高額だと思えます。保険料は月8万7000円で年間104万円を超えます。加入している複数の保険の内容をみると、お金をしっかりと貯める、という目的でみると、決してベターとはいえませんでした。「他にも適している方法があるように思います」。そういったことをお伝えすると、Sさんは信じられないというような表情をしていました。
保険は保険、貯蓄は貯蓄と分けたほうがいいのではないかとのこちらのアドバイスを聞き入れ、最終的には理解し、保険を見直すこととしました(月3万4000円に減額)。加入期間がまだ1年と短いので損失は小さくすみ、その損失分を他の方法に回したいとSさんが判断し、解約することとなりました。
財布を3つから4つに増やした
財布の管理については、「予備用財布」をもう一つ設けることにしました。3つのサイフはSさんが懸命に考えたものですし、支出のスピードもつかみやすいものですからS家の家計の特徴として残すことで妻も納得しました。ただし、予算オーバーが妻のストレスにならないように月に1万5000円ほどを別途、予備費として持っておくことにしたのです。
また、妻のスマホのプランに、話し放題のプランをつけることにしました。明細を見てみると、月に1度は保育園と電話のやり取り、保護者同士の電話やり取りがあり、月の通話料は1500円を超えていたからです。契約したプランは月に1000円弱かかりますが、1回10分までの通話を月に何回しても通話料は無料。料金が一定となりますから、急に高額になったと夫から文句を言われることもなくなります。
他にサブスクを見直したり、美容室を価格の安いところに変更したり。コロナによる外出自粛の時期だったこともあって外出回数が減り、交際費や交通費も減りました。結果的に、無理なく5万5000円の支出を削減することができました。この削減額を貯金していくのですが、Sさんは自分たちの老後に向け、iDeCoなどの積立投資を始めることを検討し始めたようです。
節約も、支出を収入の中に収める努力も、大切なことです。お金が好きなことも、貯めたいという思いも大切です。ですが、貯めるために支出をガチガチに締めすぎると、当然にやりにくくなってしまいます。ある程度ののりしろを持ってお金を使い、豊かに感じられる暮らしをしながらお金を貯める。それができるような工夫をしていただきたいと思ったケースでした。