コミュ力がない人は「孤独死予備軍」である

先に紹介したウォールディンガーは、人間関係は複雑に込み入っているものであり、「家族や友達との関係をうまく維持して行くのは至難の業」とご丁寧に付言してくれています。さらに言えば、広く浅い関係性であっても、それを複数持つことができるのもまた才能であり、それなりの時間も余裕も必要になってきます。

これはやはり公共政策でどうにかなる問題には思えない一方で、すべてを自己責任に帰する風潮と相まって、社会的孤立までが放置される危険性があることも見過ごせません。実際、コミュ力や感情資本が乏しいと、最悪の場合、孤独死予備軍の仲間入りをする可能性があります。

夜道を一人で歩く影
写真=iStock.com/AlexLinch
※写真はイメージです

2018年に英誌エコノミストなどが日米英3カ国を対象に行った「孤独」に関する意識調査では、「孤独は自己責任」と考える人が日本で44%に上り、米の23%、英の11%に比べて多いことが分かっています。前述のようにコミュ力や感情資本には個人差がありますが、可視化されにくいこともあってその事実は軽視されがちです。それで仮に自殺してしまったり孤独死したりしてしまっても仕方がないというわけです。

「孤独格差社会」の悪夢とは、資産とみなされない資産=関係資本によって個々の健康や幸福が天と地ほど開いていくことです。そしてその真実が驚くほど意識されない、大っぴらに議論されない不穏な世界なのです。

ソロも非ソロもすべての関係性をDIYでこなさなければならないことを熟知し、適切にメンテナンスできる者だけが健康や幸福を高めることができるのです。新しくてかつ終わりのない過酷なゲームの幕開けといえます。

【関連記事】
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
幸せな一生を送れる人は「健康→つながり→お金」の順番を守っている
東大卒の異才・山口真由が考える「国算理社」で一番重要な科目
「結婚すると幸せになれるか」結婚40年でも円満な夫婦が共通して守ること
月収44万68歳の悩み"暇で暇で死にそう"