仕事のデキる人がなぜか最適な選択をしている理由

考える力は「無意識のときにその力が発揮される」ものです。

意識的に考えようとしないでも、無意識下では情報の取捨選択が勝手に行われているのです。いずれの実験でも、時間が少ないグループは決定する前にパズルを行うなど別の作業をしていたのですが、そのような作業をしている間にも、実は無意識下では脳が考えてくれていたのです。

反対に、意識的に考えようとすると、「細かなこと」に目が向いてしまい、それがあたかも重大なことのように錯覚してしまうことがあるのです。

建設的で合理的な思考ではなく、重箱のすみをつつくような思考になり、不安が増長され、なかなか決断できない状況になります。

何事も万全を期すことは重要なのですが、「時間さえあればいい選択はできる」「情報は多いほうがいい」とは限らないのです。

一般的に仕事のできる人というのは、行動が早いですよね。しかし、かといって無鉄砲なわけではなく、なぜか最適な選択をしています。

「頭の回転が速い」「センスがいい」「直感で動いている」などと言われることもありますが、その本質は無意識を上手に使っているのではないかと思います。

優先順位をつけておき、細かいところには目を向けない(=忘れていく)。このような習慣が思考のムダを省き、より素早い行動につながっているのです。

転職を決断できない人に必要なたった1つの方法

「情報は多すぎないほうがいいこともある」とお伝えしました。

ただ、そうは言っても、大事なことになるほど素早く判断するのは難しくなります。たとえば転職などのライフイベントがその代表ですね。正解か不正解かの指標が単純でないものほど判断が難しく、時間がかかってしまいがちです。

そんなときにヒントとなるこんな研究があります。

シカゴ大学の経済学者、スティーヴン・レヴィットは「人生の重要な選択の場面において、自分で決断できない人はどう決断すべきか」調査をしました。

そして、この調査のためにつくったのがあるウェブサイト。「コイン投げサイト」と呼ばれるもので、閲覧者たちが「今決めかねていること」を書き込み、画面上のコインを投げるというものです。

このコインの表が出たら「実行」、裏が出たら「実行しない」というメッセージが出るというとてもシンプルなつくりです。

レヴィットはこのサイトで1年かけて4000人の悩みを収集し、「コイン投げの決断によって人生がどう変化したか」ユーザーたちの追跡調査をしたのでした。