油断すると、自分の思いを子供に押しつけてしまうことがある

【竹村】確かにそうやっていったん引いて考えると、実は親の都合だったっていうことは結構ありますね。私は自分の中学受験が大変だったので、子供は小学校で受験させて、あとはのびのび過ごしてもらいたいと思っていたんです。ところが息子は合格した小学校が合わないと言い出して……。私は働いていて忙しかったので、最初はなるべく穏便に、本人が徐々に納得してくれたらなと思っていたんですが、やっぱり楽しくないと。「仕事の忙しさに逃げないで、ちゃんと向き合おう」って決めて、息子にどんな学校が合いそうか調べ始めました。そして学校を変えたんですが、思い切って決断したらお互い幸せになれました。

竹村詠美さん
出所=『プレジデントFamily2021春号』
竹村詠美さん

【佐藤】親は自分が育った人生で得た経験をかなり引きずりますよね。油断してると、自分の思いを子供に押しつけてしまうことはあります。まず親自身が内省して、子供に合う方法を考えること。まず自分の常識を疑うことも大事だと思います。

【竹村】そうですね。子供に合わないなと気がついた時点で、方向転換したらいいんですよね。

【佐藤】子育ては18歳で一区切りだと私は思っています。娘が大学生になって手が離れた今は、産卵したあとの鮭のお母さんのような感じです。あとは自分たちで頑張って生きていってね。今、子供たちが何してるかはあまり興味ないんです。とにかく元気にやってくれたらいいですね。

【竹村】子育てを「楽しむ」気持ちの大切さをあらためて実感しました。

加藤紀子さん
出所=『プレジデントFamily2021春号』
加藤紀子さん

ピンと来たものから取り入れよう「プロママの知恵10」

(前編・後編のエッセンス)
1)新聞やTEDTalksで社会問題を話し合う

環境問題や経済問題など世の中に目を向けるきっかけづくりを日常的に行う。

2)子供が嫌がるときは理由を聞こう

勉強にしても習い事にしても、子供が嫌がるのには理由がある。子供に寄り添って理由を聞くのは親だからこそできること。

3)「子供ウケ」を狙う

それぞれの子に合う参考書が違うように、それぞれの子にウケるポイントでやり方を変える。習い事なども子供ファーストで考える。

4)「入れる学校に入ろう」と伝える

入った学校を好きになり、そこで頑張ることが大事。「あの学校がいい」とこだわっても仕方がない。

5)基礎学力をつける

将来子供がやりたいことを見つけたときのベースになるのは読み・書き・計算の基礎学力。小学生のうちにしっかりサポートする。

6)「手伝い」はさせない

子供にさせる手伝いで子供が集中を切らすことは良くない。子供が家事をするのを親が手伝う。

7)子供が求めていることをやる

子供をよく観察して求めることをしてやる。他人から見たら「やりすぎ」だと言われることも親が必要だと思えばやる。

8)きょうだいを比べない

成績やスポーツなど成果を比べられると子供は嫌なもの。きょうだいやほかの子とは比べない。

9)子供の意向を尊重する

親の意向を伝えつつも、子供の意見も聞き話し合う「民主的な子育て」が子供の自尊心を育む。

10)今の状態が良くないと思ったら方向転換する

子育ての中で失敗をしたり間違えたりしたと思ったら、気がついた時点で決断することも必要。

佐藤亮子さん
3男1女が大学受験の最難関といわれる東京大学理科三類(医学部)に進学したことで注目を集め、テレビ出演や講演活動をしている。進学塾浜学園アドバイザーも務めている。『「灘→東大理Ⅲ」の3兄弟を育てた母の秀才の育て方』をはじめ子育てに関する著書多数。現在3人の息子は医師に、娘は大学在学中。
竹村詠美さん
FutureEdu代表理事。アマゾン、ディズニー、Peatixなどの経営メンバーとして、サービスの事業企画や立ち上げに関わり、現在は新しい教育を広める活動を展開。世界の最先端の教育について記した『新・エリート教育』が話題に。総務省情報通信審議会委員なども務める。1男1女の母。子供は私立小学校からインターナショナルスクールに転校。
(撮影=干川 修、市来朋久)
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