ある調査によると、寄付をしたことがある日本人の割合は23%。世界的に見て低い数値です。なぜ日本人は寄付も投資もしないのでしょうか。そして経済コラムニストの大江英樹さんが指摘する寄付の思いがけない効果とは――。
硬貨の入った瓶を持つ親子の手
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お金を増やすことと同じくらい大事な「お金の使い方」

言うまでもないことですが、人生の目的はお金持ちになることではなく、しあわせな人生をおくることです。もちろんそのためにはお金がある程度必要ですが、お金儲け自体はあくまでも手段であって、人生の目的ではありません。楽しくしあわせな人生を送ることが人生の目的です。したがってお金をどうやって増やすか、ということと同じぐらい大事なのは“お金をどうやって使うか”ということです。「そんなことを考えたり心配したりするのは結構な身分の人でしょ。私たちはとてもそこまでは行かないわ」と思う人も居るかもしれませんが、そう考える人は失礼ながら、恐らくお金の本質とか意味がまだあまりよくわかっていないのではないかという気がします。

お金を増やすたったひとつの方法

お金というのは現金で手元に置いておいても決して増えることはありません。1万円はいつまで経っても1万円のままです。ではどうすればお金が増えるのか? 今持っているお金を増やすたったひとつの方法は、そのお金を世の中に回すことです。つまりお金を使うことによって世の中にお金が回り、経済が活発になることで世の中全体も豊かになり、給料も増えることになります。経済学で言う「乗数効果」というのがこれです。

もちろん、消費だけがお金を回すことではありません。預金や投資も世の中にお金を回すことになります。ただ、残念ながら今の時代は預金ではそれほどお金は増えませんので、むしろ投資を考えた方が良いでしょう。投資というのは「今すぐに必要としないお金を持っている人」が、「今すぐにお金を必要としている人にお金を回してあげる」という行為なのです。例えば企業が設備投資をしたいと思った場合、方法は大きくわけて2つあります。1つは銀行から借りる方法、そしてもう一つは増資や社債発行によって資金調達をする方法です。われわれが銀行に預金したお金がめぐり巡って企業に貸し出されるわけですから、銀行預金も間接的に世の中にお金を回していることになります。ところが株式や社債を購入するのはもっと直接的に企業にお金を回してあげることであり、これが投資なのです。

したがって、投資とは「自分が儲けるためにやるもの」ではありますが、同時に「人の役に立つためにやるもの」でもあるのです。預金に比べると“お金が必要な人を助けてあげる感”がより強いと考えても良いでしょうね。