タンパク質が壊されて得られたアミノ酸は再利用される
そして、このアミノ酸プールは、3つの生成経路と消費経路によって、絶えず量が保たれています。
まず、アミノ酸生成経路を見てみましょう。
②食事から摂ったタンパク質由来のアミノ酸
③体の中でつくられるアミノ酸
このうち①に注目してください。つまり、タンパク質が壊されて得られたアミノ酸は再利用されるということです。また③のように、自らつくりだす機能も備わっています。
次に、アミノ酸消費経路です。
②過剰なアミノ酸を尿素窒素などに変えて尿から排泄する
③ブドウ糖や脂肪を合成する
ここでは、②が重要です。過剰なアミノ酸があれば、それを尿素窒素などに変えて尿から排泄する(濾過する)腎臓の働きが強く必要とされるわけです。それによって腎臓は疲弊し、機能が落ちていきます。医学的には、「過剰濾過による腎機能障害」が起きます。
プロテインは要らない、肉や魚や大豆で十分
タンパク質を摂りすぎると、過剰濾過が生じて腎臓を悪くするというのは、1982年に発表された有名な腎臓病医のブレンナー教授の論文で確立されています(N Engl J Med 1982;307:652-659)。さらに、世界的に有名な腎臓の教科書『The Kidney』(編集者はブレンナー教授)にもしっかりと書いてあります(The Kidney 2020, 11th edition Elsevier, P650,P1775)。
当然のことながら、腎臓病専門医には常識ですし、腎臓が悪くなったらタンパク質を減らした食事をしなければならないことは、どんな医師も知っているはずです。ただ、プロテインの害については、多くの医師にとって理解の及ばぬ事柄でしょう。
アミノ酸プールの仕組みによって不足することなどないタンパク質を、プロテインパウダーなどで大量に摂取し、かえって腎臓を悪くしているのが現代人なのです。
もちろん、タンパク質は重要な栄養素ですから、必要量を食事から摂ることは大事です。しかし、それは普通に食べていれば十分です。もし不足するなら、プロテインなどではなく、肉や魚や大豆を食べるのが良いのです。