背景にある「世界的なカネ余り」
コロナショックにより、日本だけでなく米国、欧州の政府と中央銀行により、史上最大規模の金融緩和策と財政出動策がとられた。コロナ禍から、国民の生命はもちろんのこと、「雇用と事業と生活」を守るためにはあらゆる手段を尽くすとの意思表示である。FRBは2023年末までゼロ金利政策を続けると表明している。
このため、世界中でおカネが市中に流れ込むことになり、カネ余り状態となり、世界的にも規模が大きく流動性もある株式市場だけでなく、ミドルリスク・ミドルリターンで相対的に高い利回りが見込める不動産市場にもおカネが流れ込むことになった。
ただし、コロナ禍下であり、米中対立など地政学リスクも高まっている。このため、株式においても、新興国より日米など先進国の株式、不動産においても、新興国や地方都市よりブランド力ある先進国の都市やリゾート地の不動産にお金が流れているのだ。こうしたグローバルなおカネの流れのなかで、ロンドンやパリ、ハワイなどと同様に、日本では、東京や大阪のビルやホテル、ニセコの土地などが買われているのだ。
政治的に安定し、市場規模も大きい日本は魅力的
特に、米中対立の激化や、中国による香港やウイグルでの弾圧、ミャンマーでの軍事クーデターを目のあたりにした香港やシンガポールなど世界各地の華僑や欧米投資家の間では、地政学リスクへの不安が高まっている。その結果、政治的に安定し市場規模も大きい日本の魅力度が上がっているのだ。ドルやユーロ建て資産が大半を占める華僑や欧米などの海外投資家において、保有資産の分散、通貨の分散という観点からも、円建ての資産を日本の不動産で持つメリットが生まれているのだ。