とはいえ、子どもが生まれて以降も夫婦ともにフルタイム就業できている夫婦も少なくなります。子育て期間中、仮に妻が専業主婦になったとして、夫の一馬力で果たしてやっていけるのか、と考えると不安になるでしょう。

常々言っていることですが、「結婚は経済生活」であり、お金がなければ継続できないことは事実です。2019年度の司法統計によれば、妻からの離婚申し立て理由の多くは「性格の不一致」という理由を除くと「生活費を渡さない(夫の経済問題)」がトップなのです。

「金がないから結婚できない」は自己責任ではない

たとえ、貧乏でも家族が仲良く、毎日笑ってすごせればいいよね、という意見もあるかもしれませんが、親の経済力は、その子の将来に直結してしまいます。親が貧乏であるというだけで、「大学に進学できない→大きな企業に就職できない→給料が安い→結婚もできない」という地獄のルートが確定してしまうようなものなのです。

東京で大手町を横断する人
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少子化の最大の要因は、そもそも婚姻数の減少にあることは明らかです。日本史上最大の婚姻数を記録したのは第二次ベビーブーム時代の1972年の約110万組です。その翌年は209万人、翌々年にも203万人の子どもが生まれました。戦後すぐの第一次ベビーブームをのぞけば、これがもっとも近い「最後の200万人超え」で、それ以降出生数は減り続け、2019年確定報では、86.5万人まで落ち込んだことはご存じの通りです。

出生数が半分以下になりましたが、年間の婚姻数も59.9万組とほぼ半減しています。結婚した夫婦の生む子どもの数である結婚完結出生児数はほぼ2近い数字で推移しており、結婚すれば2人の子どもを生んでいます。つまり、少子化の根本的な原因は婚姻数の減少なのです。

そして、それを若者の草食化の問題にすり替えるような論法も的外れです。また、若者自身の所得の低下も彼らの責任ではありません。「金がないから結婚できない」という声に対して、それは自己責任だという意見もありますが、不都合な真実をいえば「親に金がないから結婚できない」といっても過言ではないのです。