わたしのメンターで、ヨシダフーズインターナショナルジャパン株式会社創業者・吉田潤喜さんのお母さんは、あるときは焼肉店、あるときはクリーニング店、あるときは喫茶店と、ダメと見れば次々に業態を変えていました。そのくらいの柔軟性で取り組まなければ、想定外の危機には対処できないこともあるわけです。

求められるのはすばやく修正できる力

このまま進んだら崖から落ちると思って、前もってハンドルを切れる人がいます。「ぶつかる!」とわかって、ギリギリで急停止できる人もいます。そして、「ぶつかるかも……」と思いながら運転し、そのままぶつかる人もいます。

「このまま行くとまずいと思ったら、ハンドルを切ること」

わたしがメンターに教わったことのひとつで、いまでもよく覚えている教えです。

ハンドルを握る手元
写真=iStock.com/Rattankun Thongbun
※写真はイメージです

ふつうに車を運転していて、突然崖にぶつかることはありません。それと同じで、ビジネスだって売上が少しずつ下がってきたり、お客さんが減ってきたりと、なにかしら事業が傾いていく兆候が現れるものです。「このまま進んだら危ないぞ」と読めたら、そのときに修正すればいいわけです。

将棋と一緒で、10手先は読めなくても、2手先くらいは誰でも読めるはずです。「売上が減った状態がこのまま2、3カ月続くとちょっと危ないな」と感じたら、すぐに別のやり方や業態、仕事に切り替える修正力が必要なのです。

不安を抱えたまま突き進むのは、手放し運転で崖へ向かって走っているようなもので、もっとも危ない生き方です。とくに従業員がいたり、固定費が多かったりする場合は、ぶつかったときの被害がより大きくなります。

いまはまさに、「このままいったらまずい」と感じて、なにかしらの対応をする、ある種のサバイバル本能にスイッチを入れるべきタイミングです。

自分の動物としての本能を覚醒させると、一種の超能力的な感覚が呼び起こされます。人間が本気になったら、異常なパワーが出るものなのです。

いまの仕事はなくなり、また新しい仕事が生まれる

多くの人がわかっていても、これまでの仕事のやり方を変えられないものです。怖れや不安があるために、「いままでやってきたことを全部やめてなにをすればいいのか?」と、足が止まってしまうのでしょう。

そんなときこそ、これまでの生き方をゼロにリセットして、価値観を変える勇気を持つことです。たとえば、収入が下がって、趣味だった毎月の旅行に行けなくなったり、好きな服が買えなくなったりすると、生活の質が下がった感じがするかもしれません。

でも、仕事や生活様式が変わるにしたがって、お金の使い方が変わるだけと考えることもできます。前提が変わるとは、そういうこと。