「煩わしい親の後始末をお金で解決したい」という人が増えている

遠藤さんはそのメリットをこう語る。

「介護施設に親を入れたらもう大丈夫と子供は思いがちですが、それは落とし穴です。むしろ元気な頃よりも事務連絡などが多くなると思ったほうがいいくらい。さらに毒親であれば施設でトラブルを起こすケースもよくあるのです。その度に新たな施設を探すことになったりして、子供は苦しみ、悪循環のスパイラルに陥っていく。認知症になったら、『こんな施設にいれやがって!』『もっと高い施設に入れろ』などと、ますます親の無理難題や暴言に苦しめられるというケースもある。われわれは、そんな煩わしい事務連絡やトラブル対応を一手に引き受けているのです」

まさに、先ほど紹介したAさんのような人たちに、LMNの存在は必要なのだ。

煩わしい親の後始末をお金で解決したい――今、LMNにはそんな相談が急増しているという。

「われわれへの相談件数が、2020年には月5件程度だったものが、今は月25件と急増しました。この1年で5倍に増えたんです」

「身内の孤独死は恥」という意識も薄れてきた

私の取材現場においても、長年疎遠だった親の遺体の引き取りを子供が拒否するという事例に遭遇することが増えた。かつては「どんな親であっても、最後に葬儀ぐらいはあげる」という規範意識が強かった。だが、それも急速に弱まりつつあるのだろう。

また身内で孤独死が起こると、かつては「恥」とされて、隠されることがほとんどだったが、今は、「あそこで死んでたみたいです」などと、平然と口にされるようになった。また、警察などから突然連絡があり、会ったこともない叔父や叔母の葬儀を任され、戸惑う人たちもこれまで以上に増えているという実感がある。

無縁社会は音も立てずにひたひたと日本社会に押し寄せていて、それは親子関係においても例外ではなく、カネの切れ目が縁の切れ目となる。

遠藤さんによると、LMNに寄せられる相談の多くが親の介護に悩む40~50代の女性たちだという。この数字は、女性がまだ介護の担い手としての役割が大きいという現状を表している。