新任副会長は日本を代表する製造業大手トップがずらり

経団連の正式名称は日本経済団体連合会であり、文字通り加盟する業界団体からの代表者で首脳陣は構成される。重厚長大型の製造業を中心に組織された経済団体という経緯もあり、その枠はおのずと「指定席」で埋まる。

実際、6月の定時総会で選任される新任の副会長の顔ぶれをみれば、それは明らかだ。新任副会長に内定した南場氏と経団連の事務方トップである久保田政一事務総長を除く5人は、いずれも日本を代表する製造業大手のトップのオンパレードだ。

列挙すれば、三菱電機の棚山正樹会長、日立製作所の東原敏昭社長、日本製鉄の橋本英二社長、パナソニックの津賀一宏社長、住友化学の岩田圭一社長。このうち三菱電機、日本製鉄の両社は任期(2期・4年)を満了して退任する、同じ出身企業からの横滑り人事だ。

新任副会長に中西会長と同じ日立の東原社長を起用

さらに、ここで気になるのは、新任副会長に中西会長の出身企業である日立の東原社長を起用した点で、「同一企業から正副会長を出すのはいかがなものか」(経団連関係者)といった指摘も挙がる。

3月9日付の日本経済新聞は、中西会長は「自身の補佐役としての活躍を期待する」としているものの、「自身の代行とすることは否定した」とわざわざ報じた。

新任副会長に内定した常連の三菱電機の棚山会長と、久々の復帰となるパナソニックの津賀社長は、日立と同じ電機業界の代表だ。病気療養を繰り返す中西会長は6月で任期(2期・4年)の第4コーナーに入るのを前に「あと1年強の任期を完遂したい」と語っており、この点で自らの支配力を固めたとの観測も広がる。

しかし、初の女性副会長の誕生、“身内”の電機業界で固めた副会長人事以上に、経団連にとって一大事なのはトヨタの存在とその処遇だ。