落ちこぼれエンジニアがトップクラス社員になれたワケ
しかし、落ちこぼれエンジニアだったからこそ、「何よりもまず自分自身にわかりやすく説明する必要があった」とも語っています。澤さんのプレゼンの根底にあるのは、ダメ社員だったから気づいた、自分のなかに眠る「わかりやすく説明するという能力」なのです。そして、それを徹底的に磨きあげて「得意なこと」に昇格させていきました。
その後も徹底的な自己理解によってプレゼンスキルが向上。マイクロソフトの執行役員時代には年間300回のプレゼンをこなすなど活躍し、ビル・ゲイツが全世界のマイクロソフト従業員約10万人の中からトップクラスの成績を収めた者だけに与える「Chairman’s Award」を受賞されています。
そして、日本マイクロソフトを退職された現在も、澤さんはセミナーをはじめ引っ張りだこの存在です。
このように、一度自分の強みを認識して“ポジション”を確立すると、それ以降の人生でもずっと活躍する“型”が得られるのです。
これからの時代に必要な「2つの努力」
得意なことには、あなたの人生をずっと支え続けてくれる再現性が宿ります。
かつての日本には終身雇用や年功序列が存在し、企業や社会によって「こうしていればいい」というレールが敷かれていました。
しかし、皆さんご存じの通り、もはや「これをやったら成功する」というセオリーなどありません。
では、どうしたらいいのか。僕は、これからの時代に必要なのは、「2つの努力」だと考えています。
それは「自分を知る努力」と「自分が活きる場所を探す努力」です。
自分を知る努力とは、可能性を“削る”努力とも言い換えられます。
「優秀なあの人のように活躍したい」だったり、「どんな時代でも生きていけるスキルや資格を手に入れたい」と、自分の可能性を広げようとすると、終わりがありません。むしろ、ないものねだりをした挙句にたいして芽が出ないと「自分は才能のない人間なんだ」と自己肯定感が低くなります。
「誰とでも仲良くなれる人間になりたい」と、無理やりコミュニケーション力を磨こうとして自分を嫌いになった、僕の二の舞いにならないでください。
そうではなく、「自分にできることは何か? 得意なことは何か?」と、内側に目を向けるべきです。そのうえで、自分の可能性を絞ってください。判断基準が多すぎると、人はなかなか行動に移せなくなります。
「あれもしたい、これもしたい」、あるいは「あれもできそう、これもできそう」という勘違いをしていると、いつまでたっても「自分の勝ち方」を見つけることができません。