森喜朗元首相の女性蔑視発言は国内外で多数の批判を集めた。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンさんは「蔑視や女性差別は日本だけの問題ではない。男女平等が進んでいるドイツでも大炎上することがある」という――。
若い女性の足には錘、男性は楽々と階段を上がっていくイラスト
写真=iStock.com/Ekaterina Rusakova
※写真はイメージです

女性蔑視、女性差別は日本だけの問題ではない

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森会長(当時)が日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議会で女性差別的な発言をしてから1カ月余り。同氏の後任である橋本聖子氏の会長の仕事は今やすっかり板に付いてきています。

今月3日に橋本会長は元女子マラソンの金メダリストである高橋尚子氏を含む新たに12人の女性理事の選任を発表しました。

このことにより、それまで20%だった委員会の女性理事の比率は42%に引き上げられました。ただ森元会長の発言のような「女性蔑視」や「女性差別」の問題が「日本だけの問題」かというと、そうではありません。

ドイツでは党首の発言が問題に

筆者が出身のドイツは男女平等指数において153カ国中10位です。あらゆる分野において男女平等が比較的進んでいるわけですが、ドイツに女性蔑視の考え方が全くないかというとそうではありません。

ドイツでは、下ネタを含む性的な発言が長いこと「ひねりのきいたジョーク」「気のきいたジョーク」と捉えられてきました。この手のジョークが20世紀の初頭から「老紳士ジョーク」(Altherrenwitz)として市民権を得てきたことに、問題の根深さがあるのです。