余剰時間で農業支援
いつ国際線が飛ぶようになっても即応できる準備を整えておくことは、緊張感の維持が難しいとはいえ、当然と言えば当然のことだが、興味深いことに、ふたりはボランティアで農家の支援に志願している。しかも、かなりのボリュームだ。岩佐が言う。
「余剰時間を何かに使えないかという思いがある中で、農業支援の募集がありました。実は、以前から少し農業に興味があったので、いい機会だと思って参加しました」
「農家様はこれまで海外から技能実習生を受け入れていましたが、コロナで受け入れができなくなったので人出が足りない。私は岩佐のように農業に興味があったわけではありませんが(笑)、何かお役に立てるならやりたいという気持ちでした」(福島)
海外からの技能実習生の不在とグランドスタッフの余剰時間は、表裏の関係にあると言ってもいいだろう。
ふたりは同じ農家に9月に入っている。ちょうど収穫期だったため、レタス、大根の収穫や大豆畑の草取りを支援した。しょせんは“お手伝い”程度のことだろうと高をくくってふたりの話を聞き始めたのだが、相当にハードな仕事を与えられているから驚く。
想像以上の筋肉痛
受け入れ側の農家の陣容は、パートも含めて5人程度。そこにANAの社員が3人1組で参加している。作業開始は朝の8時。1時間の昼休みをはさんで4時までだから、もしもちゃんと戦力になったのだとすれば、相当な貢献である。岩佐が言う。
「私は9日間やりました。収穫した大根を洗浄してS、M、Lのサイズに分け、6~8本ずつ段ボール箱に詰めてパレットの上に乗せていくのですが、この箱がかなりの重量でとっても重労働でした。終わった後の筋肉痛は想像以上でした」
「私は6日間やりましたが、収穫以外に草取りもやりました。雑草の種類によっては除草剤が効かず、1本1本手で抜くしかないそうで、私はにんじん畑の草とりをしました。もう、畑が広くて広くて……」(福島)