次代の有望株を軒並み処分され、旧郵政人脈は壊滅状態

菅首相への批判は収まりそうにないが、菅首相のお膝元の総務省では地殻変動が起きようとしている。

総務省は、統合官庁の常で、自治省、郵政省、総務庁の3省庁は容易に交わることはなく、幹部人事も新人採用も別々に行われるという時代が長く続いた。

トップの事務次官も3省庁によるたすき掛けが続いたが、その後、総務庁人脈が払底して次官を送り出せなくなると、旧自治官僚と旧郵政官僚が主導権争いでシノギを削るようになった。男性アイドルグループ「嵐」の桜井翔の父親で知られる桜井俊氏は、郵政省出身次官の1人だ。

そんな中、旧郵政官僚の鈴木茂樹前次官が2019年末、日本郵政グループに対する行政処分問題で、任期を全うできずに辞職。さらに、今回の「違法接待」で、旧郵政人脈トップの谷脇氏が一敗地にまみれ、続く吉田氏も、さらに続くはずだった秋本氏も、致命的な懲戒処分を受けた。

次代の有望株も軒並み処分され、旧郵政人脈は壊滅状態に陥った。当面、次官を狙えるような傑物は見当たらず、隠忍自重の日々が続くことになりそうだ。

タナボタで総務省の主導権を握る旧自治官僚

こうした動きを静かに見守っているのが、旧自治官僚だ。

旧郵政人脈が自壊すれば、必然的にライバルがいなくなり、次官を継続的に輩出できるようになる。次官の任期は通例1年なので、どの入省年次も官僚トップの座を射止められるというわけだ。

内務省の流れをくむ旧自治官僚は、霞が関の中でも逸材がそろっていると言われてきた。タナボタとはいえ、巡ってきたチャンスを生かさないはずがない。まさに旧自治官僚の天下がやってこようとしているのだ。

旧自治官僚は、総じて旧郵政官僚ほど菅首相と濃密な関係にはないとされる。総務省内における旧郵政官僚の地盤沈下は、菅政権が推進する携帯電話値下げやNHK受信料値下げの看板政策にも影響を及ぼしかねない。

かつて長男を「東北新社」に送り込んだことから始まった不祥事だけに、菅首相は総務省接待問題で日ごろの辣腕らつわんを振るうこともままならなかった。身から出たサビとはいえ、盤石だったはずの足元さえ揺らぎ始めている。

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