2月8日、音声SNSアプリ「Clubhouse」が中国から利用できなくなった。中国ITライターの山谷剛史氏は「中国の規制技術は進歩しており、今回のClubhouseの閉鎖も従来の手法に加えて、SMSの遮断という最新手法が使われている。当局の検閲はさらに厳しくなりそうだ」という――。

中国では話題になってから約2週間で閉鎖されたClubhouse

「これではClubhouse(クラブハウス)が中国で生き残るのは難しいだろう」

中国に10年以上在住している日本人たちは、なにかと話題の音声系SNS「Clubhouse」について口をそろえて心配した。その予想通り、日本では1月末より話題となってから、約2週間後の2月8日の19時ごろ、中国から利用できなくなったのだ。

中国にはGFW(グレートファイアウォール、サイバー万里の長城)と呼ばれるシステムがあり、グーグル、ツイッター、ユーチューブ、フェイスブック、Gmailなど多数の「世界の定番サービス」が利用できない。一方で、GFWの壁を越えるVPNなどのサービスを中国内外の開発者が開発提供し、多くの中国在住者が海外の本来はアクセスできないサイトにアクセスしている。

実はグーグルもユーチューブもツイッターも、登場当初から中国で使えないわけではなかった。だが、その後国内で知名度が上がり、ある程度の時間を経てからGFWができて使えなくなってしまったのである。それに比べて、Clubhouseが使えなくなるまでの時間はかなり短かったといえる。

予想を上回る規制が行われた

中国国内で話題になった直後には、中国人のアーリーアダプターが続々と利用し始め、アリババの中古取引サービス「閑魚」ではClubhouseの招待枠が売買されるなど、その人気ぶりがうかがえる。

中国のECサイトで売られるclubhouseの招待コード
筆者提供
中国のECサイトで売られるclubhouseの招待コード

中国人ホワイトカラーに人気のイーロン・マスク氏ら語るトークルームに殺到し耳を傾ける動きがあったほか、中国人による差し障りのない話題のトークルームが立てられ、Clubhouseについて淡々と紹介する中国メディアの記事が掲載された。