「隅田川の外側」大江戸線が狙い目
2020年の首都圏平均新築価格は6000万円の大台に乗った。これは1990年以来だ。新築で7000万円程度で買える駅は70平方メートルなら、坪単価300万円程になる。これなら、隅田川の内側ではもう購入できなくなった。外側の代表格が大江戸線だ。
大江戸線は多くの駅で別路線と交差している。例えば、城東側の門前仲町、清澄白河、新御徒町、森下、蔵前駅が代表格となる。1つの駅で2路線使えるのは資産性の点で非常にアドバンテージがある。なぜなら、路線が増えた分だけ通勤先のオフィスが増え、入居者ターゲットを増やすからだ。だからこそ、「自分は使わない」とか、「ホームまで深すぎる」とか、「車両が狭い」とかは気にする必要はない。信号や渋滞に無縁な電車はバスとは比較にならない利便性を有していると考えた方がいい。
通勤では時間距離というのも重要な決め手になる。東神奈川駅は横浜駅の1つ東京寄りの京浜東北線なので、東海道線で横浜駅に行くよりも距離のわりに乗り換えが必要で不便かもしれない。しかし、この1駅違いで価格が横浜より大幅に安くなるのでお買い得になる。このパターンは尾久駅にも当てはまる。山手線に隣接するJRの駅にしては有名ではないが、立地はほぼ山手線だし、都心への時間距離は極端に短い。こんな場所は格好の狙い目になる。
都営新宿線、総武線、京浜急行線に注目
次に着目するのは、マイナー路線だ。その代表格は、都営新宿線だ。2000年以降、森下駅で大江戸線が、住吉駅で半蔵門線が開通したことで、その周辺の駅である菊川駅も西大島駅も資産性を高めた。
こうした城東の見直され方にあやかるのが、総武線の両国駅・錦糸町駅・亀戸駅などである。総武線はJRの老舗路線だが、人気路線ではない。この他、京浜急行線の品川区アドレスもチャンスだ。代表駅としては、立会川駅がある。南口には競馬場があるが、品川駅に近く、羽田空港にも急行停車駅でアクセスがよいわりに、安い価格帯が人気の要因だ。京急沿線では北品川や新馬場駅も品川のリニア開通の恩恵を受けそうで、資産性が維持されている。
こうしたやや意外な資産性のある立地に脚光が当てられるのは、持ち家の家族構成が小さくなっていることが影響している。
以前は、田園調布や成城学園前のような西側の高台の好立地がいいとされたが、今は共働きや子ども1人家族が増え、通勤アクセスの方が重視されるようになった。こうした少人数世帯は賃貸市場に近い住まいの選び方をする。家賃はアクセスのいいところほど高いが、その傾向が持ち家市場にも入ってきて勢力図が上記のように変わってきているのだ。そう考えると、その地殻変動が終わる前にその傾向を先取りした方が得をするというわけである。