2014年夏から、ほとんど吠えなくなった日本の新聞

日本の新聞は、14年の夏からほとんど吠えなくなった。

8月、朝日新聞は従軍慰安婦問題をめぐる「吉田(清治)証言」が虚偽だったと認め、関連記事を取り消す。

9月には、福島第一原発の所長だった「吉田(昌郎)調書」についても、記事の一部に誤りがあったとして取り消してしまう。猛烈なバッシングを受けた朝日は保身と組織防衛に走り、担当局長や部長だけでなく、前線の記者たちにも不本意な異動を強いた。『プロメテウスの罠』など優れた調査報道を残した「特別報道部」はバラバラにされ、骨抜きにされたのだ。

見出しと記事の一部に慎重さを欠いたのは事実だが、「吉田調書」の入手は紛れもないスクープだ。政府の事故調査委員会は、所長を含む772人の関係者の証言を闇に葬り去ろうとしたのだから。

ところが、と筆者は書く。

〈産経新聞や読売新聞は「吉田調書」を隠蔽した政府をまったく批判しなかった。批判の矛先は朝日新聞へまっすぐ向かっている〉。たしかに「ダブル吉田」問題で両紙は、安倍官邸とスクラムを組むかのように朝日を攻撃した。

〈私は心底驚いた。政権から攻撃されたとき、ジャーナリストはお互いに協力して守り合わなければならない〉。そうでなければ、〈大きな力をもつ政権からの攻撃に抗することはできない〉からだ。

尻尾を振ってエサをねだる記者クラブの住人には、“犬の耳に念仏”だろう。

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