30年にわたって上昇トレンドを続ける米国株。その米国株市場を代表する株式インデックス「S&P500」への投資が人気を集めている。農林中金バリューインベストメンツ最高投資責任者の奥野一成氏は「日本株に連動したTOPIXインデックスに比べはるかに運用成績は良い。だが、世界最強のS&P500への投資にも弱点がある」という――。
2008年10月、リーマンショック直後のウォールストリート
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最強インデックスS&P500の弱点

前回、「サラリーマン投資家に大人気『インデックス投資』の見過ごされたリスク」で、長期投資においては、パッシブ投資なのかアクティブ投資なのか、という軸よりも、ポートフォリオ内に入っている企業が長期的に企業価値を増大できるのか否かということの方が、根本的に重要であることを述べました。

インデックスの決定方法の違いから、米国の代表的な株式インデックスであるS&P500インデックスと日本のインデックスであるTOPIXでは、中に入っている企業が、まさに「メジャーリーガー」対「草野球の選手や往年の名プレーヤーも含めた混成チーム」ほどの違いがあることを説明しました。

1988年12月末を起点にリターンを比較すると、TOPIXが0.8倍だったのに対し、S&P500インデックスが13倍なりました(図表1)。この結果からも、長期投資において、どのインデックスに投資するかが非常に重要になるのです。

日米インデックスの長期的趨勢(1988年12月~2020年12月)

とはいえ、メジャーリーガー級の銘柄が組み込まれている世界最強のインデックスS&P500であっても、見過ごせないリスクがあります。今回は、サラリーマン投資家にぜひ知っておいてほしい、S&P500インデックスの弱点を紹介します。