後ろの客から「圧」を感じてしまう
しかしながら、店員の負担が減っても客の負担が増えては本末転倒である。今回話を聞いた人の中でいくつかあったのがこの意見だ。
「セルフレジだと後ろの客から『圧』を感じてしまう」
そもそもセルフレジは客にとって本当に便利なのか? YouTubeには多数の「セルフレジを体験してみた」という動画があるが、「ピコ次郎」氏のYouTubeチャンネルには「ユニクロレジ使い方!! ユニクロセルフレジ使い方!! 分かりやすく説明!!」という動画がある。
ピコ次郎氏は丁寧に使い方を解説しているため当然時間がかかっているのだが、853円の商品を1つ買うのに2分54秒もかかっている。慣れれば1分ほどですべての工程を終えられるかもしれないし、この時は後ろに誰もいなかったのかもしれないが、2分54秒は長すぎである。私が彼の後ろにいたらイライラして仕方がなかったことだろう。
慣れればどうってことはないのかもしれないが、「IDの有無」や「支払方法」など選ぶ項目が多すぎる。最初のトライで後ろからの「圧」を感じてしまった人は「もう次からは使わない!」となってしまうかもしれない。
「セミセルフレジ」を前に汗がダラダラ
完全なセルフレジの前段階として、店員がバーコードは通すものの、カネは自分で支払う「セミセルフレジ」がある。これを私が初めて使ったのは東京の某スーパーだった。
突然この形式になっていたのだが、まず、どこにカネを入れていいのかが分からない。どうやら紙幣と硬貨は別々に入れるようだが、それを把握するまでに時間がかかった。
「現金」「クレジットカード」という選択肢もあったため、ここで一瞬止まってしまった。さらには「領収書」を選ぶ項目もある。
この時は夏だったのだが、おりしもコロナ禍によるマスク生活がすでに始まっていたため、初の体験に汗はダラダラ。しかも、後ろの人はジュース1本といった状況のため、私がレジで戸惑っている中、すでにバーコードスキャンは終えている。
明らかに「チッ、このIT音痴オッサン、何デレデレしてるんだよ。さっさと会計終わらせろボケ」といった空気を感じる。同時に店員もこの客に対して「申し訳ありません」という表情を浮かべる。