「来てるな、未来!」と歓迎ムードだが…
小売店の無人化の動きが加速しそうだ。感染対策にもなるということだが、日経の電子版は1月11日に「無人店で効率経営 ドコモ小売り参入、セブンは1000カ所」という記事を配信した。
記事では「新型コロナウイルスを機に非対面サービスを加速させる。無人化は人手不足対策にもなる。小売りの低い生産性が改善すれば、日本経済全体の効率性も高まる」と明るい未来を示しているが、果たしてこれは定着するか。タバコや酒といった年齢制限がある商品がある場合はセルフレジは使えないが、今の時代、極力見知らぬ他人との接点を減らしたいからセルフレジが歓迎される空気なのは十分理解できる。
セルフレジについては、ラーメンズのコントではないが、「来てるな、未来!」といった感覚が往々にしてあるように感じられる。このコントは、鉄腕アトム誕生から30年の2003年に東京で公開された公演「ATOM」で披露された「ATOM1」だ(大阪では2002年12月に実施)。
果たして本当に定着するのか
片桐仁演じる「30年間コールドスリープ(冬眠のようなもの)していた父親」が、未来がどうなっているのかを楽しむべく、息子(小林賢太郎)に会いに行く、という内容だ。父親は21世紀になった2003年、カーナビがあることや携帯電話があることを息子から教えてもらったことに対し「来てるな、未来!」と喜ぶが、息子の話を聞き続けているうちに、30年前とさほど状況が変わっていないことに気付く。
父親はかつて見たSFの世界のように、空を車が飛んでいるのではと思ったものの、そうではない現実を見て落胆するのである。だから、再びコールドスリープに戻ろうとするも、息子は父がこの時代から逃げることを「ズルい」と非難する。
恐らくセルフレジは10年前からしても「来てるな、未来!」だろう。これが定着し、本当に感染症が防止でき、生産性が上がるのであれば、これほど良いことはない。
だが、筆者の周囲では「本当に定着するのか?」という疑問の声もいくつか聞けたので、ここでセルフレジの将来像について考えてみる。アマゾンの実験店舗のように、商品を持って外に出たところで決済が完了するレベルになれば、本当に便利だが、今回のドコモやセブン-イレブンの取り組みは「店員の負担を減らす」ということが主眼になっているようである。