オレはバカの部類に入っていたのか…

こうした状況が続くとますます焦り、汗はさらに出る。さっさとこの場を離れたかったのだが、終わってくれず、ようやく釣り銭が出たところで私はこの拷問から解放された。しかし、再び後ろから舌打ちが。なんと、焦りのあまり領収書を取り忘れていたのだ。

後ろのジュース客がイライラしているのが分かる。そして、レジ打ち店員が「お客さーん、領収書です」とわざわざ外に出て領収書を渡してくれた。これには2人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

なんというのか、これが自分にとって屈辱になってしまったのだ。これまでの人生、他人ができることは大抵こなすことができた。だが、「スーパーでカネを払う」ということができないのである! あぁ……オレは世の中ではバカの部類に入っていたのか……と愕然としたのである。

以後、このスーパーには行かなくなってしまった。世の中全体が「セミセルフレジ」になるのであれば構わないのだが「もう汗をかきたくない」「もう後ろの客から舌打ちをされたくない」「もう店員から憐れみの表情を浮かべられたくない」という気持ちになってしまったのだ。

スーパー マーケット
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カゴ入れの順番に会計処理と作業は多い

そして、「セルフレジ」の意義について考えたいのだが、基本的には「店員の負担を減らす」ということにあるものの、そもそも「レジ打ち」と言うと「誰でもできる仕事」的なニュアンスで捉えられることも影響している。

そんなことはない。スーパーで時々「研修中」とネームプレートにシールを貼っている店員を見る。この人たちは明らかに他のレジよりもバーコードをうまく読み込めずもたついている。そして、刺身等をビニール袋に入れるスピードも遅いし、カゴの中に商品を適切な順番で入れられないため、再度カゴの外に出したりもしている。

カゴの中身というものは、重いものを下にし、刺身や総菜といったパックに入ったものは上にしておくもの。そうでなければ、重いビールの6缶パックなどの角でラップを傷つけてしまう恐れがある。客が買い物をする時はそのようにずらしながら配慮するが、慣れていない店員であれば、上の方に置いてあるものから順々に精算用のカゴに入れていき、突如「ありゃ、こりゃ順番間違えた」と気付き、入れ直すことに。

熟練の店員はこんなミスをすることなく、テキパキと商品を移動させ、速やかに会計をする。これがどれだけ価値があることで、スピードアップに繋がっていたのか!

セルフレジというものは、「研修中」以下の技能しかない一般人がバーコードを読み取り、それで無茶苦茶な順番で商品を袋に詰めていくことを意味する。しかも、後ろからは「チッ!」の舌打ちまで聞こえてくる。