日本電産の永守重信氏「車の価格は近い将来、5分の1になる」

トヨタもNTTと同じ運命をたどるのか。

トヨタは2016年1月、シリコンバレーにAI技術の研究開発拠点となる新会社「トヨタ・リサーチインスティチュート(TOYOTA RESEARCH INSTITUTE=TRI)」を設立した。そこにCEOとして米国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)のトップだったロボット開発の第一人者、ギル・プラット氏を招聘し、自動運転の開発を進めている。

しかし、「車にスマホの技術を乗せようとするトヨタと、スマホの延長線上で車を作るGAFAには根本的な違いがある」(アップル関係者)という。GAFAが重視するのは、顧客に提供するアプリや提供できるサービスだ。

車両、車体はスマホでいう「ケース」にすぎない。開発費や高度な技術が必要なエンジンや変速機がバッテリー(電池)やモーターに代われば、この「ケース」の費用も一気に減る。

車載用モーター分野の進出を急ぐ日本電産の永守重信氏が「車の価格は近い将来、5分の1になる」というのも、エンジンを積むガソリン車からモーター搭載のEVが主流になる中で「自然の流れ」となる。

「トヨタもGAFAの下請けメーカーになる日も近いかもしれない」

トヨタもソフトバンクと組むなど、アプリ開発に力を入れるが、いまだ具体的な成果は出ていない。その間にも米アマゾン・ドット・コムは配送用のEVを開発し、製造は既存のメーカーに委託してすでに米国内で活用している。

車両開発の主体はGAFAなどネット企業にすでに移りつつある。「いずれ、トヨタもGAFAの下請けメーカーになる日も近いかもしれない」(前出のアップル関係者)

欧米ではガソリン車の販売が禁止されるほか、二酸化炭素を出す化石燃料を使って作った火力発電所から調達した電力で生産した部品を搭載した車両の輸入を認めないという動きも出てきた。

エンジンを併用するHVはEVが普及すれば価格面で対抗するのは難しくなる。トヨタが時間稼ぎでHVを維持する間に、世界はものすごい勢いでEV化の方向に突き進んでいる。国内でもソニーがEVの試作車を昨年披露した。参入への垣根が格段に低くなった自動車産業。日本の残された基幹産業がトヨタの「牛歩」のために、GAFAに席巻されるのか。変革に向けたトヨタ=豊田章男社長の覚悟が求められている。

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