人間の脳は自分の行動が正しい理由を探し正当化する

状況が変わることで、先ほどはまったく思いもしなかった「『B店』で150円のキャベツを買ったほうがいいのかな……」という気持ちが生まれたのではないでしょうか。実際にこの状況を目の当たりにしたら、『B店』の150円のキャベツを買ってしまう、という選択をする人も多いでしょう(たぶん、私もです……)。

そして人間の脳は、自分の行動が正しかった理由を探す方向に働き始めます。

・『B店』のほうが高いから安心できるキャベツのはず
・誰も入っていかない『A店』はなんか怪しいな
・『A店』に入ると近所から変な人と思われるから『B店』のほうがいい

……など、さまざまな理由を考え出します。

そしてそれ以降、自分の行動を正当化するために「『B店』で50円高いキャベツを買う」という行動を繰り返します。

その結果、いつのまにか“『B店』で50円高いキャベツを買うことが正しい”と思うようになるのです(本当は毎回、50円損する選択をしているにもかかわらず……)。

これを行動経済学では「不合理行動」と言います。

「頑張ってもうまくいかない」本当の理由

こうして人は、本当は自分にとって損をもたらす選択を“正しい”と思い込み、しかも、日々その選択を繰り返しながら過ごします。

「頑張って努力しても思うような結果や満足感が得られない」
「大きな不満があるわけではないが、なぜか人生に充実感がない」

日常のそんなモヤモヤも、このメカニズムのせいなのです(本当は毎回損をする選択をしているのですから、そりゃモヤモヤするわけです。自分では正しいと思い込んでいるけれど)。

自分が日々「正しい」と信じていることは、本当に100%正しいと断言できるのだろうか? あなたもきっと不安になってくるでしょう。

たとえば次のようなことを、いつのまにか正しいと思い込んでいませんか?

・家族のために一生懸命働くことは素晴らしいことだ
・安定した収入があるほうが安心する
・リスクを冒すような危険なことはしないほうがいいかな
・夢や目標が叶ったら幸せだ
・自分のことは後回しにして子供中心の生活を考えるのが大事
・お金よりも大切なことがある
・嫌なことがあっても常にポジティブでいることが大切だ
・自分に厳しくしたほうが自己成長できる
・嫌われる勇気があれば人間関係で疲れず、もっと楽になれる
・付き合う人は優しい人のほうがいい
・結婚しないよりも、結婚したほうが断然幸せ

いかがでしょうか?