経済が上向かないのは政府のせいじゃない

日本では政府の政策が経済動向を決定すると考える人が多いのですが、これも正しい認識とはいえません。

経済動向を決定するのは消費者に製品やサービスを提供する企業や、こうした企業から商品を購入する消費者の力であって、政府はそれを側面支援する役割に過ぎません。経済主体のひとつである企業の経営者がこのような状況では、日本が成長しないのも当然の結果なのです。

日本はこれから人口が減っていきますから、このままでは市場が縮小する可能性が高いと考えられます。しかし企業には、より儲かるビジネスにシフトする、海外でビジネスを展開する、M&Aで規模を拡大するという選択肢があり、それを実現するために設備投資資金が存在します。

加えて、こうした難易度の高い投資を実現する能力や胆力を持っているからこそ、企業経営者は高い報酬と社会的地位が約束されているのです。

サラリーマン社長は一掃すべき

ところが日本では、いまだに年功序列による内部昇格でトップに就く経営者が多く、十分な適性を持たない人物が企業の舵取りをしているケースが多く見られます。日本経済を本当に成長させたいのであれば、有能な人材を経営者に据えるという社会的コンセンサスを一刻も早く確立する必要があると筆者は考えます。

ノートパソコンを前にちんぷんかんぷんだと両手を広げるシニアのビジネスマン
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硬直化している日本企業の経営環境を改善すれば、多くの企業が、国内市場を生かした付加価値の高いビジネスモデルに移行できるはずであり、それが実現すれば、日本経済は再び、自律的な成長モードに回帰できます。