新型コロナウイルスの「重症化リスク」に関する研究結果が次々に報告されている。順天堂大学医学部の講師で、免疫学研究に20年以上従事してきた玉谷卓也氏は「新型コロナに適切に向き合うためには、自分の重症化リスクを把握しておくことが重要だ」という――。

※本稿は、小林弘幸・著、玉谷卓也・監修『免疫力が10割 腸内環境と自律神経を整えれば病気知らず』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

温度検査
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重症者に共通していること

新型コロナウイルスの発生から、ほぼ1年が経過しました。この未曽有の危機に対抗するために、世界中の科学者が研究を行っていて、すでに8万報以上の論文が発表されています(2020年12月現在)。

このような膨大な研究成果から、新型コロナウイルスの重症化リスクが明らかになってきています。

新型コロナでは、感染者の8割くらいの方は無症状か軽症で済みますが、約2割の方が肺炎症状が悪化して入院することになり、1割弱の方が重症化します。収束に向けた適切な対応のためには、重症化リスクがある人を明らかにすることが重要です。

しかし、多くの方が、感染した場合の重症化リスクを知らないというのが現状でしょう。

重症化し、亡くなった方の多くは高齢者です。高齢であるということは、残念ながら大きな重症化リスクです。

なぜなら、高齢であるほど免疫力は低い傾向にあり、特に、免疫反応を制御するレギュラトリーT細胞の機能が低下していて、炎症を起こしやすい状態になっているからです。

また高齢者は、なんらかの持病を持つ方が多いということもあります。