妄想をたくましくすると、心が豊かになりますよ。現実的な感性も磨かれます。切羽詰まっても、追い詰められたと思ったら、そこから立ち直るための発想も生まれなくなっちゃいます。ポジティブにものを考えるというのは、自分の心を救ってやることだと思いますね。
私など、前科7犯、50億円の借金を抱える身になって初めてわかったこともございます。会社が倒産した途端、蜘蛛の子を散らすように周りから人がいなくなりました。え~、そりゃもう早いものです。「監督のためなら命を捨てます」「一生ついていきます」といわれていたのに、その世界が一瞬にして消えてしまったんです。
すると考えますね。私の何を人は評価していたのかと。私という人間を支えているバックボーンは何なのか、自分は人からどういう人間に見られたいのかと。贅沢の話でいえば、自分はなぜこの贅沢をしたいのか、自分にとって本当の贅沢とは何なのかを検証してみるということですね。高級車や高級ブランド品を持ったとしても、それが自分に対する周りの評価においてどうなのかと。
ビジネスマンの場合、その人の価値は仕事のなかに実質があるわけでしょう。何によって自分が認められたいのかとなったら、高級車や高級ブランド品を持つ満足は、それとは別の話ですね。
苦しいときほど、自分の本当に欲しいもの、やりたいことを考えるナイスなチャンスなのです。不況だ、金融不安だと騒がれますが、マスコミなんぞに惑わされてはなりません。羹に懲りて膾を吹く必要などございません。不安を抱えて縮こまるか、不況や金融不安が何ほどのものだと思うか、2009年などはその分かれ目、差が出てくる年ではないかと思いますよ。
(構成=高橋盛男 撮影=岡本 凛)