やがて肺や胃、関節も代替可能になるだろう

心臓については、大動脈弁を人工弁に入れ替える手術も臓器交換のひとつ。さらに現在ではiPS細胞技術を用いた心筋シートが実用段階に入っているほか、外部心臓とも呼べる「補助循環装置」の臨床使用も広まってきています。

腎臓に関しても、携帯型の透析治療装置が実現する日は近いと考えられ、将来的には腎臓そのものを人工腎臓に総取り換えすることも可能になるでしょう。

現段階ではまだ研究開発や実験段階のものも多いのですが、これ以外の肺や胃、関節なども近い将来、人工臓器で代替可能になるだろうと期待されています。

「五臓六腑」すべての臓器を“総取っ換え”して全身を機械の体にすることはさすがに難しいでしょう。しかし、部分的にせよ臓器の多くが「傷んだら交換できる」時代になってきているのは事実。臓器代替は、不死時代の行方を大きく左右するファクターになるのではないでしょうか。

AI診断の導入で「誤診」が激減する

医療テクノロジーの飛躍的進化がいくら最新の治療法をもたらしても、治療の前段階である医師による診断(見立て)が間違っていたら元も子もありません。病気の克服のためには、診断プロセスにおける最初の「誤診」をなくすことが重要な課題になるのです。

そのための取り組みとして大きく期待されているのがAI(人工知能)による診断の導入です。誤診の多くは、医師の思い込みや疲労といった要素が影響した判断ミスによって発生しています。ならば人間のような思い込みや疲労のないAIのほうが、むしろ安定した正確な診断ができるということ。AIの導入によって「人間だから間違いはある」というヒューマンエラーによる誤診リスクが激減するのです。

UIを用いた未来的なデジタルヘルスケアのイメージ
写真=iStock.com/Nattapon Kongbunmee
※写真はイメージです

また、AIはITテクノロジーとの親和性が高いため、インターネットを通じた遠隔診断や自動診断の実現にも普及にも大きく貢献します。医療の世界、とくに「診断」の分野においてはそう遠くない将来に、AIがデータ分析や照会を行い、最終チェックやその結果を参考にした診断を人間の医師が行うというスタイルが主流になっていくでしょう。

がんの克服、人工臓器への交換、AI診断による誤診の激減など、医療テクノロジーがもたらす「病気で死ぬリスクの激減」が、人生120年という不死時代、超長寿時代の到来を強く後押ししているのです。

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