「得をしますよ」よりも「実は損してますよ」のほうが効果的

狙い:リスクを強制想起
生活者に対して、今まで気付いていなかった「今そこにあるリスク」を連想させ、危機感を持って「今やらないとマズイ」と思わせる方法。

具体例:電気シェーバー
朝のオフィス街で、行き交うビジネスマンに声をかけ、その場で「この電動シェーバーでもう一度ひげを剃ってください」と依頼。ひげ剃り後、白い板の上に今剃ったひげを落として、どれくらい剃り残しがあるかを表現する、かつての有名なTVCM。間接的ではあるものの、ひょっとしたら自分にも剃り残しがあるかも……という気持ちにさせた。

解説
もし現状に何の不満もない状態で、「これには+αのメリットがあります」と伝えられたとしても、まああればいいけど必要もないかな、としか思えません。

しかし、「実は、あなたは損していますよ」「あなたはリスクを抱えていますよ」と言われると、今まで何も問題がないと思っていればいるほどドキッとしてしまいます。

同じ商品/サービスでも、訴求するアングルを変え、問題意識を表出化させるべく、あえて「ネガティブな方向」から攻める方法は、行動経済学的アプローチの典型とも言えます。

ベースにある理論:損失回避性
得をすることよりも、損をすること、リスクにさらされることについて、過大に反応しまう傾向のこと。
本アプローチは、ポジからネガにアングルを変えた訴求で、新たなニーズを生み出そうとする、まさにこの心理を使った典型的な方法です。

現状維持のリスクを可視化させる

適用条件:提供する価値が、何かのマイナスを埋めるものであること
それが提供する新しい価値を享受しないことによって、何かの不便が生じる/何かの機会損失が生じる/何らかの将来のリスクが生じる、という説明ができることが必要です。

多くの商品/サービスが検討対象となるでしょう。あまりに強い表現で嫌悪感を抱かせると意味がありません。嫌みを感じさせない程度の言い方にすることも重要です。

テーマ:「企業サイトのSEOサービス」の新規顧客を開拓したい
このようなサービスはすでに飽和状態にあり、SEOベンダーの一括比較/見積もり依頼サイトがあるくらいです。

すでにニーズが顕在化している企業を狙っても、価格勝負になるだけです。ここで考えたのは、今までSEO対策に必要性を感じていなかった「潜在層」の開拓です。SEO対策に関するニーズを意識させるにはどうすればいいでしょうか?

活用例
単純に、「ウチのサービスを使えばもっと集客できます」とか、「もっと歩留まりが良くなります」というアピールをしても、その時点でニーズを感じていない対象者にとっては、響きません。

そこでこのアプローチ。まずは「あなたの会社のWebサイトを診断します」という無料の解析ツールをつくり、そのページにコンタクトさせます。

そして、自分たちの企業サイトのURLを分析ツールにコピー&ペーストし、分析ボタンを押すと、自分たちがSEO対策の不備で、どれだけ客を取り逃がしているのかということがスコア化されるという仕組みです。

そこでSEO対策の必要性に気付き、問い合わせボタンを押す……という流れです。これは、あるMA(マーケティングのオートメーション)ツールのベンダーが実際に行った手法です。