ドラマで逮捕された犯人の「その後」を想像する
私は、娘が物心ついた頃から、世の中は善意だけで成り立っているわけではないことを伝えてきました。「大人だから信用していいわけではない」「ダメな大人はたくさんいる」ということです。
そして、悪意だけではなくて、「どんな人でもミスはする」ということも話しています。パパもママも物は失くすし、忘れ物をする、大事なコップを落として割ったりするのは子どもも見て知っています。だから、一瞬の不注意で交通事故が起きたり、火事になったりするんだよ、と。
娘は、刑事ドラマが大好きなので、テレビを見ながら色んな話をします。ドラマだとだいたい、最後に犯人が逮捕されて終わります。「この後、犯人はどうなると思う?」と尋ねると、「刑務所に行く」と娘は答えます。「刑務所から出てきた後は?」と尋ねると「いい人になってる」と。
しかし、大人でも勘違いしていますが、服役しても必ず更生できるわけではありません。再犯もとても多いです。そして、刑事ドラマの場合は殺人が多いので、だいたい服役しますが、罪を犯しても裁判にならない事例が圧倒的に多いですし、裁判になっても執行猶予事案のほうが多いのです。
つまり、大半の犯罪者が刑務所には行かないということです。だから、世の中には犯罪者が溢れているのです。もちろんきちんと更生している人もいるけれど、そうではない人もたくさんいる。悪い人ほど発覚しないように上手に犯罪を重ねている。だから、気をつけないといけないんだよ、と話しています。
刑事裁判の傍聴に行き、犯罪者を実際に見てもらう
夏休みの自由研究を兼ねて、娘と一緒に刑事裁判の傍聴に行ったことがあります。
まだ幼いので、凶悪事件や複雑な事件を避け、窃盗や住居侵入、傷害などの罪名を選んで傍聴しました。「被告人」という人がいる現実や、その人が何をやってしまったために裁かれているのか、という事実を目の当たりにして、「本当に犯罪者っているんだな」という実感を持てたようです。
しかも、いい年をした大人が、小学生でも呆れるような罪を犯しているのです。「お金がないからって盗んじゃダメだよねぇ」「大人なのに空き家に勝手に住み着いちゃうってどういうこと?」「殴るとかあり得ないよ」と素直に感想を述べていました。
世の中には、本当にお金がなくて困っている人がいることも伝え、それはそれとして理解したようでした。娘が中学生になったら、性犯罪の傍聴も誘ってみようと思います。