生活費は現在の8割で暮らすことを目標に

そこで、こうした厳しい状況に備えるために、現在の収入が2割減ったとしてもなんとかしのげる強い家計をつくっておくといいでしょう。

つまり、これから数年間は「家計の収入を増やす」ではなく、「いかに支出を小さくするか」に徹して、家計管理をしていくことが重要なのです。

小さな見直しでも塵も積もれば山となる。たかが1円、されど1円の精神です。たとえば1月1日に1円、1月2日に2円……と毎日節約額を増やしていけば、それだけで1年間に6万6795円も支出を抑えることができるのです。

最終的には現在かかっている生活費を2割カット、つまり現在の8割で暮らすことを目標に家計を細かくチェックしてみてください。

50歳の時点で負債と資産をプラスマイナスゼロに

また、コロナ禍の経済的な影響は、現役世代の老後資金にも及ぶことは間違いないでしょう。「老後に備えて」といいますが、「まだまだ先」と思っている方も多いのではないでしょうか。しかし、油断していると意外と早くやってくる。それが老後です。

では、どうすればいいのでしょうか。

人生100年といわれる時代ですから、その折り返し地点である50歳の時点で現状の資産をチェックし、これから何をすればいいのかという明確な目標を持ち、対策を立てることで、安心な老後を迎えましょう。生活費を8割にするのと同時にこの点をチェックしてほしいと思います。

豚の貯金箱にコインを入れる女性の手
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
※写真はイメージです

結論からいえば、私は、50歳の時点で負債と資産がプラスマイナスゼロになっていれば、老後はまず心配ないと思います。

コロナ禍の影響が拡大しても変化に柔軟に対応できる家計とは

50歳といえば、子供がようやく社会人になる、というご家庭が増えてくるでしょう。このタイミングまでに、住宅ローンを繰り上げ返済で完済していれば、それまで住宅ローンに支払っていたお金を貯蓄にまわすことができます。

子供が社会人になって養育費や教育費がかからなくなっていたら、その分のお金を貯蓄にまわすことができます。

50歳で、専業主婦だった妻も子育てから解放されていれば、パートなどに出て稼ぐこともできます。つまり、50歳時点で、人生前半の高いハードル(住宅ローン、子育てなど)がなくなっていれば、60歳までのあいだに月10万~20万円くらいは貯金できる。結果、1200万円から2400万円の老後資金ができるのです。

また、今後コロナ禍の経済的影響が拡大していくことがあっても、こうした家計は「レジリエンス」を発揮し、環境変化に対応できる状態になっているはずです。