近縁のウイルスで得た獲得免疫が機能しているのか

実際に、アメリカでは新型コロナウイルスの症状がない健康な人の4割から6割が、新型コロナウイルスに反応するT細胞を持っていたことがわかっています。

SARSは中国で発生してアジアに広がり、MERSも中東から発生して中国にも広がったように、コロナウイルスの中心地はアジアといえます。

そのため、アジアではアメリカ以上に、交差免疫による新型コロナウイルスにも反応するT細胞を持つ人の割合が高い可能性があるのです。

まだまだ検証段階ではありますが、これが実証されれば、PCR検査や抗体検査だけではなく、T細胞の検査によって感染リスクを測ることが、新型コロナウイルス感染症の拡大抑止に重要な役割を果たすでしょう。

さらに、新型コロナウイルスに対する免疫の状態だけではなく、感染・重症化リスクの遺伝要因および環境要因が研究で明らかになってきています。

このような研究をもとに、新型コロナウイルス感染症の感染・重症化リスクを判定する検査も受けられるようになってきています(筆者プロフィールにリンクあり)。こうした検査によって自分のリスクを把握することで、適切な新型コロナウイルス感染症への対策が可能となります。

【関連記事】
新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
「セックスレスで人生を終えたくない」コロナ離婚を決意した夫の言い分
「軽症者にも後遺症の恐れ」新型コロナと"ただの風邪"との違いがわかってきた
「新型コロナのワクチンを渇望はしない」医師としてそう考える理由
軽症の間に「かぜ」と「肺炎」を見分ける3つのポイント