鉄道事業者はどこも厳しい。その中で西武HDが注目を集めるのは、コロナ禍で大打撃を受けているホテル事業が売り上げの約4割を占めるからだ。同じように鉄道事業以外がコロナ禍の影響を受けているという点で注目を集めるのが傘下に東急電鉄を抱える東急だ。

渋谷エリアの大開発が裏目に出るか

2021年3月期の業績見通しは営業収益が前年同期比19.3%減の9400億円、営業損益は200億円の赤字。セグメント別に見ると、鉄道を含む交通事業は187億円の営業赤字(前期は270億円の黒字)、ホテル・リゾート事業は282億円の営業赤字(同14億円の赤字)と西武グループと同様、鉄道とホテルで苦戦している。

そんな中で不動産事業の営業利益は前期とほぼ同じ288億円の営業黒字を見込み、一見気を吐いているように見える。しかし渋谷一帯で展開する大規模再開発の効果は薄く、「むしろ今後裏目に出るのではないか」(大手デベロッパー幹部)と予測する向きがある。

渋谷のスクランブル交差点
写真=iStock.com/Rich Legg
※写真はイメージです

コロナ禍でオフィス需要は低下傾向にあるが、中でもテレワークへの切り替えが早いIT企業ではオフィス返上の動きが広がっている。「その影響をもろに受けるのが渋谷をIT企業の集積地にしようとしている東急だ」(同)

足元の株式市場でバリュー株の値持ちは比較的良い。その最中に新たな財務戦略を打ち出したところとそうでないところの差が、今後じわりと出てくるように思える。

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