意外にも、この低金利の時代に50代の人たちは、年5%以上の高利回りの保険を持っている。その保険をさらに有効に活用する方法があった!
「お宝保険」で貸し付けと死亡時2回現金を得るワザ
50歳を過ぎると、少しずつ定年後の生活のことが気になってくる。年金はどのくらいもらえるのか、住宅ローンは完済できるか、医療費は大丈夫か――さまざまな不安が頭をよぎる。
ほとんどの不安はそれなりに貯蓄があれば乗り切れるが、なかなかそうはいかない。実際には「貯蓄がほとんどない」という世帯も珍しくない。金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2007年)」によると、年収が1200万円以上の世帯でも実に5.2%が無貯蓄だ。
そんな貯蓄欠乏世帯の関心事の一つが老後の医療費。同世代と飲みに行けば話題はもっぱら健康関連で、自嘲気味に健康診断の数値を披露することも少なくない。そして、不安を追い払おうと終身医療保険に加入したくなる。
確かに終身の医療保障は安心だが、タダではない。貯蓄が乏しいうえに高額な保険料を負担することになれば、ますます定年後の生活は苦しくなる。
実はこの問題をすっきり解決する方法がある。現在加入している保険を活用するのだ。50代というと、20年程度前に保険に加入した人が多いと思われるが、このころの保険は“お宝保険”である可能性が高い。お宝保険とは、保険料の運用利率(予定利率)が高い保険のことで、一定の貯蓄効果が期待できる。
たとえば、図のように1000万円の終身保険に加入していた場合、74歳の時点で解約返戻金は約625万円に達する。保険料払込総額は約307万円だから2倍以上になっている計算だ。医療費が必要になったときには「この資金から充てればいい」と考えれば、50代の時点であえて終身医療保険に加入することもない。
しかし、実際に払い込み満了時点でお金が必要になっていても、すぐに全部を解約してはダメ。一部だけ解約したり、解約返戻金を担保に必要な額だけ借りる手もある。もちろん、お金を借りれば利息が発生する。この例の場合、7年以上生存しているならば部分解約をして解約返戻金をもらったほうがいい。7年以内に亡くなった場合、利息を負担してでも借り入れで現金を得て、最後に保険金の1000万円で精算したほうがいいという計算になる。
では、自分が加入している保険がお宝保険かどうかを見極めるためにはどうしたらいいか。保険証券を取り出し、契約日を確認してほしい。1996年4月1日以前であればお宝保険と考えてよい。93年4月1日以前ともなると、予定利率は5.5%もある。
ただし、多くの人が加入している定期付終身保険であれば、お宝保険といえるのはそのうちの終身保険部分だけだ。すでに高額な死亡保障がいらないのであれば、定期保険特約の部分を解約して、お宝保険の終身保険だけを残す方法もある。定期保険特約部分を外せるかどうかは、保険会社で異なる。ダメなら更新のタイミングを狙う。
お宝保険の使い方として、「終身保険は年金にも変えられる」という話を聞いたことがあるかもしれないが、それはお勧めできない。年金に変えると予定利率が下がってしまうからだ。
さて、お宝保険からお金を借りる場合に「生保カード」を持っていれば、何かのときに家族でも郵便局のATMなどで手軽に引き出すことができる。銀行のキャッシュカードのようなものだが、加入している保険会社に申請すれば作ってもらえるから、事前に用意しておいたほうが便利だ。