学力格差で二極化。上位校は変わらず、知名度の低い学校は苦戦?
――さて、冒頭で、前年よりも小6人口が減少するので、志願者が増える学校は少ないとの見方があると教えていただきました。2021年度入試をどう予想していますか。
【安田】言えるのは二極化です。受験生の学力格差が、例年になく拡大しているのが大きな特徴なのです。
今年は学校や塾の休校、オンラインでの講義や模試の実施という、受験生は今までとは全く異なる学習環境下におかれました。自学力がある子は休校で時間がある分、受験勉強に充てられる時間が増え、平常時の受験生よりも学力が高くなっています。逆に、学習習慣が崩れてしまった子は受験生としての基礎的学力さえ身に付いていない状況です。
ここから推測されることは、難関校、伝統校は志願者の変動があまりなく、合格者平均点が上昇し、さらに難化するということです。
逆に知名度が低い学校は合同説明会などが十分に開催されなかったことで、存在を知られる機会が乏しく、志願者が極端に減少する可能性があります。
――おっしゃるように、今年は休校が長かったので、自分で机に向かえる子であったかどうかが鍵を握る受験になりそうですね。
【前編を終えて、鳥居りんこ氏の総評】
中学受験は一朝一夕にできるものではなく、あえて言えば、家庭のリベラルアーツ度が影響する世界。つまり、子どもが生まれた時から、身近に本がたくさんあり、親も読書を楽しみ、子どもの疑問には共に考えていく姿勢を大切にしている家庭の子は自然と知的好奇心が旺盛になることが多い。
一方、偏差値や大学合格実績という誰かが作った物差しを盲目的に信じてしまい、勉強を無理やりさせてしまったがために、子供が勉強嫌いとなる残念な家庭も少なくない。安田氏が語る「自学力」が小さくなってしまうのだ。これからの時代は特に、親には「その子に合った道」を後押しする力が必要になるだろう。そうした点も踏まえ、後編ではより具体的に2021年の入試動向を探っていきたい。
(後編:「中学受験にもはや国算理社は不要か」謎解き入試、読書感想文入試…ユニーク入試で入れる穴場校リスト、へ続く)