外食代を節約すれば10年で755万円貯まる

ファストフードが「ダイエットにいい」とは意外だが、その理由を説明する前に、一般的に食費にどの程度のお金をかけているのか、家計事情をチェックしておこう。

【図表1】は2人以上の世帯の食費を総務省統計局「家計調査」(2019年)で見たもの。年収「500万~550万円」、「1000万~1250万円」、「1500万円以上」の世帯を抜き出しているが、エンゲル係数は20%台だ。

エンゲル係数とは、商品やサービスを購入するための支出(消費支出)に占める食費の割合のこと。年収が増えるほど、エンゲル係数は低くなる傾向にはあるが、それほど大きな差はない。つまり、年収が増えるにしたがって、食費も増えていることになる。

実際に年収500万~550万円の世帯の1カ月の食費は約7万2000円だが、年収1500万円以上の世帯では月12万6000円だ。その差は月5万4000円に上る。

2人以上の世帯の食費の内訳

内訳を見ると、「年収1500万円以上」の世帯では、自炊や中食の比率が下がり、外食の比率が上がっている。お金に余裕ができると、「忙しいから」と、外食する機会が増えたり、「ちょっといいものを」とぜいたくをしてしまっているのかもしれない。

一方で、1億円貯められる女性は、年収が上がっても食費はできるだけ増やさないように工夫している。仮に月5万4000円の差額を積立投資に回して、年利回り3%で運用できれば、10年後には755万円が確保できる。食費の工夫だけで、これだけの資産ができるのは大きい。

粗食があってこそのご馳走

さて、ファストフードがなぜダイエットにいいのか。それは、カロリーや栄養成分が明確に表示されていることが多いからだ。店舗のメニューやサイトで確認できる。

「今日のランチは900キロカロリー程度でしたが、ちょっといいものを食べると1000キロカロリーを超えてしまいます」と藤川さん。

ファストフードにも高カロリーの食事は多いが、それは食べなければいい。いいものであればカロリーだけでなく値段も高い。予算500円の外食は、財布にも体にも優しいわけだ。

お金持ちは、価格とカロリーをきっちり把握した店舗をいくつかお気に入りにして、ルーティンで利用する。新しい店を発掘しようという気持ちはない。お金持ち女子には昼食は毎日お弁当を作る人も多い。前日の夕食の残りなどを有効活用して手間を省きつつお弁当を作っている。

お金持ちはなぜそこまで徹底できるのか。

「粗食があってこそのご馳走です。メリハリをつけることで喜びも大きくなります。お金が貯まらない人は、日常的に『ちょっといいもの』を食べているため、そのありがたさに気づいていない人が多い。これはもったいないですね」

日ごろの外食の予算を500円にしているからこそ、余裕があるときに少しぜいたくをするのが、大きな喜びにつながるというわけだ。

貯金箱に硬貨を入れる女性の手元
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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前述のように、年収が高くなると、それに合わせて食費も上がっていく。外食が増えたり、「少しいいもの」を食べたりする機会が増えるだろうが、普段からぜいたくな食事をしていると、徐々に喜びも薄れてしまう。食費がかさむだけで、喜びは感じにくくなってしまうのだ。