生涯受け取れる公的年金は、老後資金のベースになるものです。これをより盤石に、頼りがいあるものにすることが、老後の安心感を高める近道。年金に詳しいファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが、年金額を増やす方法を伝授します。
現役時代は「長く多く稼ぐ」が鉄則
「収入が増えても、税金や社会保険で引かれる額が増えて損!」。そんなふうに思っていませんか? たしかに税や社会保険料の負担が増えるのはつらいものですが、社会保険料については、多く払えば多く払ったなりの給付が受けられます。
もちろん、年金もその1つ。
年金の基礎をおさらいすると、自営業やフリーランスの人は国民年金、会社員は厚生年金(国民年金を含む2階建て)に加入しています。会社員を経てフリーランスになった人、これからフリーランスなどになる人でも、1カ月でも会社員として働いていた期間があれば、その間の収入と、その期間に応じた額の厚生年金が受け取れます。
国民年金は収入に関わらず保険料が一律で、20~60歳までの最長40年の加入期間のうち、何年加入していたかによって年金額が決まります。対して厚生年金の保険料は収入に応じて保険料が決まり、納めた保険料と加入期間によって年金額が決まります。厚生年金は70歳まで加入でき、「収入が多い(保険料を多く納める)」ほど、「長く働く(保険料を長期間納める)」ほど、年金は多くなります。
「保険料を多く払うのだから増えるのは当たり前」と思うかも知れませんが、生涯に渡って受け取れる公的年金の額を多くしておくことは、長生きへの備えとして合理的と言えます(預貯金などは長く生きれば減っていきます)。「たくさん稼ぐ」「長く働く」ことで、長生きに合理的に備えることができる、というわけです。