前出の、スポーツ実況が得意な男性アナは「逆取材」することもあるらしい。
「実際に得意先に連れていかれた場合で、それがロケとかでないのであれば……感想そのものから話をそらして、お店の人に『相当こだわっているでしょう?』とかインタビューを始めちゃいます。むしろ、心の中で『なんで、こんなにまずいんだろう』っていう興味をパワーに変えて、質問を深めながら、その場を乗り切る感じです(笑)」
そして先ほどの「1を100にするのはあり」のキー局女性アナはこんな必殺技を紹介してくれた。
「便利な言葉があります。『○○なのに、どこか××』という表現です。『ラーメンなのにどこかフレンチのような繊細さも感じられる』みたいな(笑)。あと、もう少し気取った感じで笑えるのは『~の風が吹いた』。『??の風景が浮かぶ』とかいう表現ですね(笑)」
少数ながら「ド直球」派も……
さて、ここまでアナウンサーたちの、さまざまな「誤魔化しテクニック」を紹介したきたが、中にはこんな人たちもいる。一切誤魔化さない「ド直球派」だ。
東京キー局でニュースキャスターを務める女性アナウンサーは潔い。
「私の場合、嘘をついて誤魔化したくないので、『ごめんなさい、あまり食べたことがなくて苦手な味です』と伝え、そのなかでも食べられるものはおいしくいただくと思います。『あの人がおいしいと言っていた』というのが広まると大変ですし、次にまた同じテイストのお店に行く事態を避けるためにも、誤魔化さないほうが良いのではないかと思います。参考にならないかもしれませんね……ごめんなさい!」
そして、地方局出身のフリーアナウンサーの女性も、はっきり「まずい」と伝えるという。
「いろいろ考えてみたのですが、お得意先でも遠慮なく『おいしくないですね』と笑顔で言います。状況もあるかと思うのですが『私は苦手ですー』とストレートに言う感じでしょうか。また、まずい場合は、箸もつけません。大概『マズい=安い店』なので。例外もありますが。なんか、書いてて『私も結構、いやな女なのか⁉』と思いますが、40代半ばともなれば、こんな感じでしょうか」
潔いのも、場合によっては好感を得ることがあるのかもしれない。あくまで「場合によっては」だと思うので、状況をよく判断し、自己責任で潔く「マズい」と言ってみるのもひとつの方法だと言えるだろう。とはいえ、筆者はそんなにオススメはしないが。